2006年2月16日(木)
できるだけ入居費の安い、老人ホームに入所したい(入所させたい)というのは自然な願望だろう。サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)によれば、最近特にこの傾向が強まっているそうだ。高齢化で扶養者も第三世世代になっており、自身の収入だけでは入居費を支払えない状態になっているためだという。
かつては六十代での入居希望が、ちょくちょくあった。現在は、八十代を過ぎてから相談に訪れる人が少なくない。
八巻和枝福祉部部長は「長生きするようになり、八十代を過ぎても元気な人はいる。最後の最後になって、やっと相談に来る人も少なくないのでは」と分析している。
加齢に従って様々な病気が現われるため、入居の時点で持病が確認されていることも。車椅子使用や痴呆など、身体介護が必要な人は、特別擁護老人施設に入ることになる。
入居費は最低給与の七~八倍。それ以外に、医薬品やオムツにかかる支出も支払わなければならない。
八十代の入居者希望者がいれば、その子供は既に第三世代に入っているか、定年退職が間近。年金の収入では、家計を支えるのは大変かもしれない。まして、親の入居費を捻出するのは困難なことだろう。
例え扶養者が四十代の働き盛りでも、子供の教育費に費用がかさむ時期。高齢者は後回しにされがち。出費はできるだけ、抑えたいところだろう。
施設側にしても、一定の介護レベルを維持するためには相当の収入が必要だ。特別養護老人施設になると、どうしても入居費が上がってしまう。
結果、入居費の低い施設へと流れていくことになる。最近は日系にこだわらない入居者(扶養家族)も少なくない。
八巻部長は「老人ホーム選びは、経済的な面だけで決めるのはよくない。お年寄りには、肉親との血の通った接触が必要です」と忠告。総合的な面を考慮して、お年寄りと家族にとって、もっとも好ましい選択をしてほしいと勧めている。