2006年2月17日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】現在全国のファベーラ(スラム街)に居住する貧困層は六五〇万人と言われ、各州都に集中している。過去十年間で平均三九・三%の増加を見せ、州都のみで九〇年代の三〇〇万人から四二〇万人に膨れ上った。三人に二人のファベーラ住民が州都に住みついている勘定になる。総勢六五〇万人のうち、半数がサンパウロ州(約二〇〇万人)とリオデジャネイロ州(一三八万人)となっている。ヴィトリア、フロリアノポリス、カンポ・グランデの三市が減少し、ゴイアニアが横バイで推移した以外は軒並み増加傾向となった。ベレン市では人口の三五%がファベーラ住民となっている。
州別のファベーラ住民数はトップがサンパウロの二〇七万一一一七人で、次いでリオデジャネイロの一三八万七八八九人、三位以下十位まで順にパラー(五八万人強)、ミナス・ジェライス(五二万人)、セアラー(三九万人強)、バイーア(二九万五〇〇〇人)、ペルナンブッコ(二三万八〇〇〇人)、リオ・グランデ・ド・スル(二二万九〇〇〇人)、パラナー(一九万人強)、アマゾナス(一七万人強)となっている。
州都別では過去十年間に最も増加したのはブラジリアで四〇〇%、次いでジョン・ペッソーアの二六五%だった。増加率は八四%ながら、ベレンは人口比率で三五%とトップになった。
ベレン市は全人口の三五%に相当する四四万八七二三人がファベーラ生活をしている。大半が市内に在住したものの、家賃が払えず移り住んだ。
パラー川の水上のヴィラ・バルカでは二五〇〇人が生活しており、一メートルの渡し板が唯一の通り道で、各バラックをつないでいる。半世紀前に最初に住みついた八十八歳の女性の家では三世代にわたる家族のほか、隣家には親族が生活している。
住人の三分の一が子供で、通路を走り回って板を踏み外し川に転落するのは日常茶飯事だという。今までに死人は一人も出ていない。なれたもので水中に転落すると一度浮き上がってくるので、そこを引き上げる。このチャンスを逃すと川に押し流されて死につながるとのこと。住民は「これが正真正銘の洗礼だ」と笑いとばす。
このほか一万人が住みついているファベーラは市有地だが、青空下水道の上に建てられており、病気が後を絶たない。市当局では危険地域や非衛生地帯に住む住人の優先移転先に十六万戸の家が必要だとし、非常事態だとの認識を示している。
人口比率で一八・六%とベレン市に次ぐリオ市だが、ファベーラ人口は一〇九万二四七六人で全国トップとなっている。リオ市のファベーラ風景は名物となっており、全国のファベーラ人口六五〇万人のうち一六・八%がリオ市に集中している。さらに年々増加しており、現在は過去五十年間で最高のファベーラ人口となっている。
同市の統計によると五つに大別されるファベーラ地区で、ゾナ・ポルトアリアが減少したのみで、残りは一・四%から八・一%の平均増加率となった。グァラチーバ(一二・七八%)、サンタ・クルス(一〇・一%)、バーラ・ダ・チジュカ(九・三五%)、ジャカレパグア(七・七七%)の西部地区で人口増加が顕著だった。
サンパウロ市ではファベーラ内でのバラック戸数より空き地などの不法占拠が多いため、統計がとりにくい。ブラジル地理統計院では総人口一〇九二万七九八五人の八・七%相当の九〇万九六二八人としているが、市当局では一一〇万人と踏んでいる。
人口比率での都市別順位ではベレン、リオに続き、フォルタレーザ(一六・五%の三五万人強)、テレジーナ(一三・三%の九万五〇〇〇人)、ベロ・オリゾンテ(一二%の二六万八〇〇〇人)、マナウス(一一・九%の一六万七〇〇〇人)ジョン・ペソア(一一・四%の六万八〇〇〇人)、ポルト・アレグレ(一〇・五%の一四万人強)、サルバドール(九・七%の二三万八〇〇〇人)、レシフェ(九・五%の一三万人強)、クリチーバ(九・一%の一四万五〇〇〇人)、そしてサンパウロとなっている。