あのコロンブスが発見?したハイチの騒動は続く。イスパニョーラ島の西側にあるこの国の歴史には悲劇もいっぱいあるが、ラ米で初めての独立国であり世界初の黒人共和国でもある。ナポレオンの派遣した軍隊とも戦い独立を達成したのが1804年だから日本では江戸である。原住民のアラワク族はスペインによって虐殺され全滅し、アフリカからの奴隷が建国した国家だが、戦後の政治史は暗く、政治的な騒ぎが絶えない▼1957年からのデュバリエ大統領による専制と秘密警察のトントンマク―ドは余りにも有名だが、この政権が倒壊しても政治の安定はなかったと見ていい。今回も大統領選挙の不正と国民的な対立が根元にある。選挙には33人もが立候補するの乱戦ぶりだし、投票箱に入ったままの投票用紙が焼却されるの不祥事も起こっている▼今のところ、国民の多数を占める貧困層に人気の高いルネ・ブレバジル氏が51%超の得票率で当選となっているけれども、このまま安定するかどうか―である。こうした不安定な国のため国連は平和維持軍(PKO)を9000人派遣し、ブラジルのバセラ―ル司令官が自殺を遂げシケイラ将軍が後任として現地に赴任している。バ司令官の自裁も治安の悪化が深刻さを深めたのが原因とされ、この苦境は現在も変わらない▼四国の1・5倍のハイチには770万人が暮らしているが経済的には貧しい。世界で2番目に貧困の指摘もあり騒ぎをしているときではない。むしろ、国旗に書かれている「団結は力なり」を大切にしたいのだが。 (遯)
06/02/18