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若者の4人に1人はニート=勉学も就職もせず=苛酷な社会からはみ出る=家の外で無為に時間つぶし

2006年2月21日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】社会経済研究所(IBASE)は十九日、全国八大都市に住む十五歳から二十四歳の若者の二七・一%が、勉学も就労もしないニートであると発表した。同様の調査結果は、ブラジル地理統計院(IBGE)の月例就職調査にも出ている。六大都市で十二月、十六歳から二十四歳の若者を面接したところ、二三%に当たる百七十万人が進路開拓のための学業も就労もしておらず、そのうち六七%(百十万人)は就職活動に励む意欲もないことが分った。多くは就職難に挫折し、自暴自棄になっている。
 義務教育だけの学歴で職業未訓練の若者にとって、就職戦線は絶望的だという。カランジルー刑務所跡に建設されたスケート場には、午後九時までスケートで一日をつぶす若者が日々増えている。同様の悩みを抱え、話題も共通する若者の溜まり場である。やがて彼らも婚礼期を迎えるが、どうするつもりなのか。
 同年代の女性は家庭の重苦しい雰囲気から逃げ出し、ショッピング・センターや公園で仲間と落ち合い長い時間を潰す。出世コースの大学入試に滑ったら、地獄が待っている。教会やNGOのボランティアで食事が出るだけでも、家庭の骨が混じったご飯よりマシという人がいる。
 調査によれば、若者の四分の一強がこのような境遇にある。運を天に任せ明日は明日の風が吹くと、職業訓練にも勉学にも勤しむことなく、気の向くまま無為に時間を過ごす。家庭では親から顔を見られる度に「穀潰し」や「風来坊」と罵倒され、モラルを粉砕されるのが耐え難いのだ。
 リオ国立大のエリアネ・リベイロ教授が、これら若者は根からの怠け者ではなく、社会組織があまりに苛酷なため、そこに入れないのだと同情する。生まれつき才能や生活環境に恵まれた場合は別として、二七%のハミダシ組が生まれるような社会環境にあるらしい。
 ニートを都市別で見ると、レシフェ市が三三・五%で最高。続いてベレン市が二九・三%、ブラジリア市が二八・八%、サンパウロ市が二八・四%、ポルト・アレグレ市が二七・九%で平均を上回る。平均以下はベロ・オリゾンテ市の二六・八%、リオデジャネイロ市の二三・二%、サルヴァドール市の二一%。
 政府の初就職キャンペーンは、免税目的の企業による若者採用で現実を無視しているという。就職した若者は勉学継続を希望するが、企業は過酷な労働条件を強制、情容赦しない。若者は、勉学に好都合な職場を求めて転々とする。
 応用経済研究所(IPEA)の調査では、成人して経済的に独り立ちする年齢が年々、遅くなっているという。一九八二年と二〇〇二年を比較すると、男性で三七・九歳から三九・五歳となっている。女性は三一・一歳から三一・九歳。七〇年代は男性にとって就職が独立と結婚、そして所帯を持つことを意味した。
 企業活動サイクルの短縮と不安定な雇用が、市民の生活を変えた。就職戦線は、高学歴者と最先端技術者を求めるようになった。大卒が知識階級と思われた時代は終わった。男女の高学歴化により、夫と妻の社会的地位や生活スタイルも変わった。時代の変遷から取り残される人々も年々、全国レベルで増えると思われる。