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コラム 樹海

 もう40年近くも前の話だが、日航の社長室を訪れたことがる。M氏の手紙を届ける使い走りなのに社長は若輩を丁重にもてなしソフアーに誘い「安全第一」の話を静かに語られたのを今も忘れない。社長は松尾静麿氏であり「俺は夜も安心して眠れないんだ。日航の飛行機は24時間、世界の何処かを飛んでいる。人の命を預かっているんだ。事故の可能性が頭を離れない」の語録を遺してもいる▼今の日航には、この「安全の精神」が消えてしまったのではないか。飛行中の機体から部品が落下し、タイヤがおかしいとかの事故が後を絶たない。パイロットのミスもある。余りの酷さに国土交通省が業務改善命令を発するようになっているし、経営者も責任を強く認識すべきは論を待たない。石油が高値になったの原因もあるけれども、業績の不振はこうした「安全神話の崩壊」が大きいのではないか▼先日は4役員が社員ら50人の署名を持参し新町敏行社長らの退陣を要求する内紛が暴露された。社長は辞任を拒否しているが、この騒動がこれからの経営に悪影響を及ぼすのは避けがたい。それも―これも、日航が大きくなりすぎて企業統制がうまく機能しなくなったからではないのか。本業の飛行機は安全欠落しているのにやれホテルがどうのとかにばかりに神経を使いすぎる▼操縦士の給料が世界一とかの噂も漏れ聞く。そもそも、日本人の乗客を大切にしないの悪しき習慣があるらしく、日系人の扱いもよくはない。先ずは安全を第一にが業務向上への道なのに―である。     (遯)

06/02/21