2006年2月22日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】ブラジル社会民主党(PSDB)執行部は二十日、大統領選に向けた党公認候補の人選が当初予定の二月末までには困難となったため、さらにずれ込む見通しを明らかにした。アウキミンサンパウロ州知事とセーラサンパウロ市長の、党公認に向けた熾烈な水面下作戦は、党執行部の憂慮するところとなった。カルドーゾ前大統領とジェレイサッチ党首、ネーヴェス・ミナス・ジェライス州知事の三巨頭がサンパウロ市長を囲んで十六日に行った夕食会が、サンパウロ州知事の心証を害したようだ。知事は直後、徹底抗戦の構えを表明。党は二十一日、三巨頭を交え人選方法について話し合うことになった。
大統領選に向けたサンパウロ州知事とサンパウロ市長の熾烈な党公認合戦は、PSDBを二分しかねない事態に発展した。
PSDBの三巨頭が十六日、サンパウロ市長を囲んで夕食をともにした。席上、市長は党の推薦が得られるなら喜んで公認を受けると表明した。
市長との夕食会は、三巨頭による市長激励のサインと見られた。談話の内容は両候補による骨肉の争いも敢えてやむなし、公認獲得に向けた権謀術数も看過という暗示であった。この夕食会は時節柄、サンパウロ州知事を強く刺激した。
温和なサンパウロ州知事は態度を硬化させ、党公認を受けるに相応しい人物は、自分をおいて他にないと声明を発表した。このような微妙なときにサンパウロ市長を囲んだ夕食会は不謹慎であり、そこで話し合われた合意は取るに足らぬことと一蹴した。さらに上議または下議選出馬の容認という譲歩は返上し、大統領候補一点に絞るとの決意を表明した。この決意は、知事が一統を引き連れて党を割る覚悟であることを秘めている。
最長老の前大統領は、三巨頭が事態を収拾できないなら人選を先延ばしし、ほとぼりの冷めるのを待つよう進言した。党内に生じた亀裂は修復するまで時間が必要だ。三巨頭は二十一日、アウキミンサンパウロ州知事と昼食を取り、懇談する。
前大統領は党内活動の便宜を図るが指示は避け、密室政治を行わないよう党執行部へ忠告した。PTの広報活動に遅れを取らないよう公認の人選を早める知事の案は却下された。
PSDBの優柔不断は十七日に表面化した。十六日の夕食会に対する轟々たる非難が党内に沸き起こった。ペリロ・ゴイアス州知事は、未出席である人物の名を会合で出すことは卑劣だと非難した。サンパウロ州知事の側近らは、党首脳部による党公認決定は不都合だとした。党首脳の役目は党のまとめ役で、党の結束強化が使命だという。
これまで穏やかな海ばかりを航海してきたPSDB丸は、初めて荒波に揉まれた。PSDB内に二大派閥の存在が判明し、黄信号が点灯し続けた。
サンパウロ州政十二年の積み上げは、ブラジル執政のためにあったとアウキミン知事は述べた。もはやPSDB首脳部から譲歩のお百度参りがあっても、容認しないと宣言した。知事はニックネーム「隼人瓜のアイスキャンデー」にちなみ、三巨頭との昼食会に隼人瓜の料理を注文する。