2006年2月24日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】昨年の大手銀行五行の決算は史上最高の経常利益となり、まさに我が世の春を謳歌する様相を呈した。過去三年間のルーラ政権では、カルドーゾ前政権八年間の収益を三倍上回る実績となった。この背景には基本金利(SELIC)の引き上げや手数料の値上げがあるが、各銀行独自の金利設定が大きな要因となっている。年初の一月は中銀がDELIC引き下げ気運を公表しているにもかかわらず、各銀行は融資利率を一様に引き上げるという逆行現象を見せ、したたかな商魂をのぞかせている。
昨年末からのSELIC引下げ傾向にもかかわらず、銀行筋では今年に入り軒並み金利を引き上げるという逆行現象を見せている。中銀の調べによると、個人および企業向けのいずれもこの現象となっている。
例えば購入した自家用車のローン金利は昨年十二月と比し、〇・五ポイント引き上げられて年利三五・三%となった。個人融資は一・六ポイント上げの年利六八・九%となり、昨年十一月と十二月のそれを上回った。またスプレッド(銀行が要する資金と顧客への貸付金の差額)は、全ての取引で十二月の三六・五%から今年は三七・八%に引き上げられた。例年一月は税金の支払と学校関係の経費が重なることで、銀行融資の依頼が殺到するため金利引き上げが常となっている。
今年一月の個人貸付けは一九四七億三〇〇〇万レアルとなり、昨年十二月の一九〇四億五〇〇〇万レアルをはるかに上回った。企業への融資は十二月の二一三五億六〇〇〇万レアルから一月は二一一二億七〇〇〇万レアルへと一・一%の減少となった。
この原因はレアル高により、海外での貸付けが増えたためとみられている。コンサイニー貸付(給料の銀行振込の時点で支払ローンを口座から天引きするもの)も例外ではなく、十二月の三六・四%から三七・三%となった。シェッケ・エスペシアルは〇・三ポイント上げて、年利一四七・八%と最高の利幅となった。
大手銀行五行(ブラデスコ、イタウー、ブラジル銀行、サンタンデル、ウニバンコ)の決算報告書によると、二〇〇三年から二〇〇五年のルーラ政権下での三年間で純益は四四一億二五〇〇万レアルとなり、一九九五年から二〇〇二年まで八年間続いたカルドーゾ前政権時代の三四三億六六〇〇万レアルの二八%増という驚異的伸びを見せた。
これは広範囲消費者物価指数を基に換算したもので、昨年一年間で一八四億レアルの純益だった、これにより過去三年間の平均は一四七億八〇〇〇万レアルで、それ以前の八年間の平均四二億九五〇〇万レアルから大きく飛躍した。
銀行手数料の引き上げも大きな要因で、投資手数料も含めて二〇億レアルの利益となっている。国内銀行は高金利が隠れミノとなり予想以上の利益をあげ、アメリカ五大銀行よりはるかに収益性に富んでいる。
資本金に対する利益の対比ではイタウーの三七・六%を筆頭に二九%以上となっている。アメリカでのトップはシティーグループの二二・二%となっており、いかにブラジルの銀行が儲かっているかを物語っている。