2006年2月24日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】全国的に生活環境が改善されている中で、アラゴアス州は唯一経済状況も含めて悪化の一途をたどっていることで、見直しが求められている。極貧と言われ、生活の悲惨さが報じられているアフリカになぞらえて、関係者は同州を「ブラジルのアフリカ」と称している。環境水準はすべての面で国内最低となっており、とくに平均所得は二〇〇四年に二一九レアルと一九九九年以降、年々低下している。そのほとんどが収入を貧困手当てに頼っている。同州の悲惨な状況を追ってみた。
リオデジャネイロ市に本部を置く労働および社会研究院がブラジル地理統計院(IBGE)などのデータを基にとりまとめたところによると、アラゴアス州の生活環境は九〇年代半ばから改善どころか悪化していることが明らかになった。
〇四年度の国民平均所得が四六二レアルに対し、同州では二一九レアルで半分にも満たなかった。他州では上昇あるいは横ばいで推移してきたのに対し、同州では二〇〇一年から二〇〇三年までに二三五レアル、二三三レアル、二二七レアルと年々低下している。
〇四年度は貧困地帯と言われる北東部と比し一七・六%、全国平均からは五二・六%減となった。九九年以降、九・五%の低下を見せている。このほとんどは定収がなく、貧困手当てで生活している。
このため貧困を通り越した極貧層は同州で六二・五%の高率となっている。九九年からの推移を見ると、全国では三三・九%から三一・七%へと、北東部では五八・六%から五五・三%へと低下したが、アラゴアス州のみは六〇・二%から六二・五%へと上昇するという逆現象となった。
最も深刻なのが下水道で、同州では住宅のわずか一四%が完備されているにとどまっている。九九年は住宅十戸のうち三戸だったのが、二〇〇四年は二戸にも届かない状況だ。州都マセイオー市の住民の大半はファベラ居住者で、上下水道の設備がなく、所謂タレ流しで、その中を子供らが裸足で走り回っている。下水完備は全国平均で九九年から〇四年までの間、六〇%から六九%へと上昇、北東部では三五%から四五%へと改善されている。
文盲率でも同州は全国トップとなっている。二〇〇四年の十五歳以上の文盲率は二九・五%で北東部の二二・四%、全国平均の一一・二%をはるかに上回っている。在学期間も四・二年と九九年と変わらず、北東部の四・九年(九九年は四・二年)、全国平均の六・四年(同五・七年)に及ばない。小学二年生のモニカちゃん(9)は読み書きが出来るかとの問いに、当然のごとく「ノン」と答えて平然としていた。
ブラジルの開発から取り残された形の同州の悲惨な環境について、ネット副知事(九九年から二期目)は、スルアジイ元知事の悪政が第一の原因と挙げている。同知事は公務員の給料を九カ月間も遅配させた上に汚職が発覚して辞職に追い込まれた。副知事は時の政権が開発資金を横流ししたと指摘している。
さらに同州出身(選挙区は異なるものの)の有力議員が数多いにもかかわらず、社会問題に目を向けないと批判している。この中には上院と下院の両議長、毒舌で知られるエロイーザ・エレナ上議、ひいてはインピーチメントで辞職を余儀なくされたコーロル元大統領などがいる。