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県連・第24回移民のふるさと巡り=ノロエステ巡礼=連載(8)=アンドラジーナ=「お互い、苦労したよね」65年ぶりの再会で固い握手

2006年2月24日(金)

 ユバ農場を出て、午後六時四十五分にアンドラジーナ文化体育協会の新会館に到着。七時過ぎから歓迎会がはじまり、ノロエステ第三地区会長でもある小野秋夫同会長(45、三世)は、「百周年を目の前にこのように交流できることは大変嬉しい」と挨拶した。
 舞台の上には、県連の中沢会長、南雲良治団長、ガラサイ文化体育協会の山田忠男会長、ファルモーザ日伯文化体育協会の菅沼道春ハイムンド会長ら近隣の日系団体も駆けつけた。
 同地文協は来年五十周年。小野会長は「まだ記念行事の計画は検討中です」という。彼は地元で市会議員をつとめる多忙な人だ。
 ノロエステ連合日伯文化協会傘下の三十団体は三地区に分割され、地区会長がいる。バウルーからプロミッソンなどを包括する第一地区、アラサツーバを中心とした第二、アリアンサやペレイラ・バレットなど最奥部の第三だ。
 当地の新会館は、二十五メートル掛ける五十メートルもあり、ノロエステ最大級だ。セントロの旧会館もそのまま使っている。〇三年に竣工したばかりで、寄付金とヤキソバやウドン祭りなどで資金を工面した。
 同文協の小笠原半(なかば、78、山梨)名誉会長が昨年までの六年間、会長を務めていた。「どうせならデカイのを」と掛け声をかけ、二年がかりで建築した。一昨年の十二月、突然の竜巻で屋根の半分が飛んでしまった。「ショックだったよ、あの時は。完成したばっかりだったから」と思い出す。小野会長と力を合わせて四カ月で元通りにした。会員は二百家族。
 元会長、守屋康秀さん(75、岡山出身)によれば、同会の創立は一九五七年で、当時三つあった日系団体(向上会、アトレチコ、日本人会)を統合して設立された。
 日本人初入植としては一九四六年ごろ、ノロエステ線ルッサンビーラ駅からグアナバラ耕地に入ったのが最初という。一行を見ながら「百三十人もの日本人が尋ねてきたのは、はじまって以来だな」と感嘆する。
 「六五年ぶりだ」。参加者の一人、清水秀策さん(65)は、ペレイラ・バレットから二十五キロ奥に入った第三サンジョゼ植民地にいたとき、守屋さんの隣の家に住んでいた。隣といっても一キロぐらい離れていた。一九三七年、同植民地に家族と共に六歳で入った守屋さんとは、七年間ほど隣同士だった。
 清水さんの父は日本では砂糖の卸業を営み、農業経験が全くなかった。そんな父親が風土病フェリーダ・ブラーボに罹るなど「大変な思いをした」という。
 「苦労したよね」と清水さんが声をかけると、「お互いね」と顔を見合わせて笑った。「顔見たらすぐ分かったよ」というと、守屋さんはニッコリ微笑み、「ありがとう」と固い握手を交わした。
 婦人部が台所でヤキソバや巻き寿司作りに忙しい。会場には八百脚の椅子が設置されたが人が溢れている。会館中央部をはさんで片側に一行があつまり、もう一方に地元の人が座る傾向があったため、「交流しづらい雰囲気」と苦情をのべる参加者もいた。
 午後九時から地元勢に混じって、にぎやかな盆踊り。最後は「行け行け同胞海越えて」と「ふるさと」を合唱し、網野弥太郎相談役が「どうかみなさん、お達者で」とお別れの言葉を贈った。
 中沢県連会長は会館を出ると「じゃ、サンパウロに帰りますから」と一言。旅半ばにして市内ターミナルからバスに乗って帰った。午後十時過ぎ、一行はパラナ川を越えて南マット・グロッソ州トレス・ラゴアスのホテルに到着、長かった二日目を終えた。
(つづく、深沢正雪記者)

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