2006年2月28日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十七日】選挙高裁(TRE)の資料から、事業年度毎に営業益を記録更新する銀行業界が、労働者党(PT)へ政治献金を上納していたことが二十五日、明らかとなった。PTが政権を獲得した二〇〇二年から〇四年まで銀行が同党の最大スポンサーとなり、癒着が噂されるゼネコンを上回ることが判明した。〇二年のPT政治献金ランクでは、ゼネコンが五一%、続いてゴミ回収業者が二八・五%、銀行は一四・五%に過ぎなかった。銀行業界は全国で、PTに活動や選挙の資金援助を以前の五二万レアルから七九〇万レアルへ増額。その同期ブラジル社会民主党(PSDB)への献金は、四一〇万レアルのみであった。
ルーラ政権に支援された銀行が、毎年営業益を記録更新し、多額の政治献金を全国PT党本部やサンパウロ州支部へ上納し、癒着していたことが判明した。銀行は道義理念をかなぐり捨て、なに振り構わず権力に取り入った。最も卑しい商人道といわざるを得ない。
PTサンパウロ州支部が受領した銀行の政治献金四三〇万レアルは、党基金に振り込まれた金額一四〇万レアルを上回る。PT所属議員や党員の会費や寄付は、合計で五五万レアルに過ぎないのだ。銀行や法人は党活動と選挙資金協力を積極的に支援し政府との関係を深めたと、フェレイラPT財務担当が言った。
政治献金の享受は法の網を潜って行われ、資金提供があっても名前と金額は表に出ない。資金提供者と党の関係は鉄のカーテンで閉ざされ、絶対秘密である。企業にとっては、不正資金のカモフラージュにもなる。TREへ報告されるのは、党が受領を認めた氷山の一角だけである。
PTと銀行の癒着関係が密になり、銀行への一方的な政府の肩入れで、富の再分配へ及ぼす影響が疑われている。PTの台所となった銀行の印象は、ルーラ大統領の政権就任以前には資本主義の犬であった。いまや銀行は政府に寄生する政商のようだ。
マルタ前市長の合弁会社ともいわれたゼネコンOASやゴミ回収企業Vegaは、PTサンパウロ州支部の支援を銀行と交代したようだ。PTの政権獲得とともに、銀行がPTの筆頭スポンサーとなり顔ぶれは一変した。ゴミ回収企業はあわてて献金額を三倍に増やしたが、銀行には太刀打ちできずランクで三位に落ちた。
銀行に次いでPTに取り入ったのが鉄鋼業だ。鉄鋼は以前、PTを無視した。それがのしをつけてPTへ献金を進呈したのは、カエミ鉄鋼とヴァーレ海運の二五〇万レアル。
PSDBへの政治献金は、プラナウト宮に列をなす献上の行列には遠く及ばない。銀行の政治献金を、指をくわえて見るしかない。政治献金の流れが変わったのだ。政権移譲の前年は、銀行から六四五万レアル受領した。それが敗軍の将とはいえ、今は一七〇万レアルに激減。
ちなみにゴミ回収のVegaは〇四年、PSDBサンパウロ州支部へ九五万レアルを献上し銀行に次いだ。同社はつねに、二足の草鞋を履いてPTとPSDBへ渡りを付けていた。