2006年2月28日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、昨年の国内総生産(GDP)成長はわずか二・三%にとどまり、一昨年の四・九%に対し、半分にも満たなかった。これはラテン・アメリカ圏内では、政争が続き経済が混乱しているハイチに次ぐ低率となった。
低成長の要因として、わずか一・六%の伸びにとどまった投資と農業界の不振が挙げられている。とくに高金利とドル安レアル高が工業界の成長にブレーキをかけたことで、投資設備などの意欲を阻隔したと指摘している。
昨年は農畜産物部門が〇・八%の成長、工業部門が二・五%、サービス業界が二%にとどまった。需要面では個人消費が三・一%、政府消費が一・六%、投資も一・六%、輸出は一一・六%の伸びを見せたものの、GDPのマイナス要因となる輸入が九・五%と急増した。
農畜産部門では農産物の減収穫と、マット・グロッソ・ド・スル州で発生した肉牛の口蹄疫が多大な影響を及ぼした。農産物ではトウモロコシ、コーヒー、米、タバコの葉、ミカン、棉などの不作がたたった。サトウキビ、大豆、マンジョッカなどは例年並の増収となったものの、期待していた豊作までには至らなかった。
工業部門では鉱業が唯一急成長を遂げ、一九九一年以来の大きな伸びを示した。業界全体では一〇・九%の成長で、石油とガスが一一・四%、鉄鉱石が一一・一%と牽引力となった。石油は一昨年採掘所の定修で生産がストップしたことで、〇・七%のマイナス成長だった。
GDP成長の決め手となり、六〇%以上の比率を占める工業加工業界はわずか一・三%の伸びにとどまった。この原因は高金利と為替相場で一昨年は七・七%の高度成長を遂げたが、昨年は萎縮した形となった。基本金利(SELIC)は昨年平均で一九・一%だったが、一昨年は一六・三%で推移した。また為替相場は中間材の輸入が増えたことで、国内産業に影響を及ぼした。
個人消費は三・一%で一昨年の四・一%に及ばないものの、安定成長気運を示した。背景には所得、とくに給与昇給に加えて、月賦購入の安易さが挙げられている。