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少数政党は吸収合併へ=生き残り組は7党=投票数5%未満は切り捨て=民主政治に逆行の声も

2006年3月2日(木)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙一日】選挙などで政党へ供与される便宜を享受するため、少数派政党は二十八日、合併工作を開始した。政府は二〇〇六年選挙で、有効投票数の五%に達しなかった政党への党基金の交付を停止し、テレビの無料政見放送も中止する端数切捨て方式を実施することを明らかにした。過去二回の選挙で二十九政党が創立され、七政党のみが同条件を満たした。俎上に上がっているのはブラジル労働党(PTB)や自由党(PL)、ブラジル共産党(PCdoB)、社会進歩党(PPS)、緑の党(PV)、革新党(Prona)などである。政党合併は延命策であるが、民主主義の精神が阻害される。
 政党合併は、ワニと蛇の同棲であるとフレイレPPS党首が訴えた。これは「強者の論理」の押し売りだという。これはルーラ大統領の再選に向けた戦略と見られ、少数派政党は政党再編で合併の渦に呑み込まれることになりそうだ。端数切捨て方式では、下議選で有効票数の五%というハードルが設けられた。
 吹き溜まりに寄せられた枯葉のような少数派政党にとって、悲哀と幻滅の延命工作だ。政党であれば郎党から家族もいるはずであり、何らかの悲願を託されている。空風に吹き飛ばされないように、ワラにでもしがみ付くのが少数派政党の運命。ハードルは、大政党のために作った小政党の吸い込み口といえる。
 〇二年選挙で五%以上の有効票数を獲得したのは、次の七党である。労働者党(PT)一八・四%とブラジル社会民主党(PSDB)一四・三%、自由前線党(PFL)一三・四%、ブラジル民主運動党(PMDB)一三・四%、進歩党(PP)七・八%、ブラジル社会党(PSB)五・三五%、民主労働党(PDT)五・一%。
 ハードルは政治改革の一環だという。政党法草案によれば、次回選挙から適用され、従来の政党への票の叩き売りを防止する。これまでの政党は政治のための政党ではなく、党籍と票数を売買し蓄財するための商品政党であった。
 政党法が実施されると国内九州の下議は、得票数が二%以下で大樹の陰に寄らねば干され、餅代も貰えない。マスコミでの無料政見放送では、上半期二十分と下半期二十分から外され、各半期二分のみとなる。議会召集後は、議院内委員会からも参加を阻止され、発言の機会を制限される。
 政党合併とは、連名式統括案を提出するための議会工作の完成とみられている。上程者が本会議で提議するとき、各党の賛成票が折り込まれての計算があり、最も確実な根回しと考えられている。上下両院で可決されると、動議は四年間安泰で地元への顔も立つ。
 政党法は寡占政治を推進するもので、民主政治に逆行するものとする非難が多い。まるで政党は大政党であるべきという法案だ。大政党は烏合の衆が多く、利害得失で集まった集団であり、イデオロギーはあってないようなもの。確固とした政治理念を持っているのは少数派政党で、前世紀的政治はまだ続きそうだ。