ホーム | 日系社会ニュース | 「天からの啓示伝えたい」天野氏=ジャパンセンター説明会に200人=〝迷言〟か〝妄言〟か=首傾げ失笑もらす来場者

「天からの啓示伝えたい」天野氏=ジャパンセンター説明会に200人=〝迷言〟か〝妄言〟か=首傾げ失笑もらす来場者

2006年3月2日(木)

 総予算五十億円、〇八年移民の日のイナグラソンを確約――。東京在住の天野鉄人(67)によるジャパンセンター構想説明会が、二月二十三日午後七時半から文協ビル小講堂で開かれ、約二百人が集まった。「二世は百姓をやっていればよかった」「私がいなくなれば百周年は大変なことになる」「この状態で皇室を呼んで、恥ずかしくないですか?」「ブラジル人の精神復興に日系人が立ちあがるべき―これは天からの啓示です」。天野氏特有の〝迷言〟か〝妄言〟か。そして外務省批判を織り交ぜた独演会。来場者からは失笑や野次が漏れ、会場は異様な雰囲気に包まれた。
 天野氏がジャパンセンタービルの予定地としているのは、リベルダーデ大通りと高速東西線が交わる四千平米の土地。
 まず、設計会社のアルシンド・ディルアグネセ、ジャクリーネ・パーロの両氏がジャパンセンター概要を説明。地下四階、地上二十三階で、前面の歴史建造物とのコントラストを際立たせた近代的ビル。用地は四千平米で床面積は三万平米。地下には、四百五十台収容の駐車場を予定しているという。リベルダーデ大通り沿いにある歴史建造物の全面修復を前提に、市の建築許可を待っている段階と語った。
 地下に設計されている駐車場に進入するスペースが確保されていないとの指摘に「隣の土地を地価の二倍出しても購入する準備がある」と天野氏は説明。設計者二人に向き直り、「後は寝ずに頑張ってください。資金調達は任せて」と深く頭を下げた。
 「二十五日の帰国後、内閣や政府機関、企業、日本国民に働きかける。予算は五十億。ブラジル国民やコロニアでの募金は全く考えていない」と断言した。
 質疑応答の口火を切ったのは、サンパウロ新聞の鈴木雅夫編集局長。「「ビル予想図には『神内良一』のロゴが入っている。これは了承を得てないはずで、毎回来るたびに言うことが違う。はっきりいって詐欺行為」と厳しく指弾。
 天野氏は、「毎回言うことが違うのは進歩しているから」と切り返し、「(神内氏には)了解は取っていないが、理解してもらっていると認識している」とお茶を濁した。その上で、「コロニアを巻きこまないで欲しいという鈴木さんの意見がコロニアの総意とは考えていない」とした。
 続いて、マイクを握った楠彰領事は「この案件に関して日本国政府は関与していない」と明言。
 それに対し、「自分は自民党の支持を受けており、来伯前にも議員から、『日系人のためじゃなく、国益だから頑張って欲しい』といわれた。彼らも『外務省は問題ない』と言っており、他の省庁に働きかけるつもり」と話し、外務省、領事館批判を繰り返した。
 百周年協会の大浦文雄副総務委員長は、「祭典協会を無視して、どう日本政府、国民にコンタクトを取るのか。日系社会を無視しているのではないか」と疑問を呈した。
 天野氏は、「コロニアの総意が組織的に集約されているのなら、今日のような集まりはない」と返答。「世界的、人類のためにも自分が主体的に関わる問題。どういう形であれ、〇八年の移民の日にはイナグラソンをする」と勝手に宣言した。
 「私に下った天の啓示を皆さんに伝えたい」と天野氏は襟を質し、「日系人は戦後、ブラジルに貢献出来ない民族に変わってしまった。いわゆる勝ち組が発言権を失ったとき、今日のブラジルが始まった」と持論を展開、「皆さんが希望する形を取って、日本政府に出させてやるのが、自分の気持ち」と胸を張った。
 「二世は大学に行くより、百姓をしてた方がよかった」との発言に、「親に勉強させてもらい、各方面で活躍していることを誇りに感じている」とある二世が反論、拍手が沸く場面もあった。
 「私がいなくなれば、百周年は大変なことになる。設計が良ければ五、六十億円は出る。交通整理がいるくらい」。幾度も資金調達に自信を見せ、「外務省人事をもって、自分に日本政府の後ろ盾があることを示すよう、日本に帰って内閣に報告する」と政治家との強いパイプを誇示した。

 ■会場からの声は…■
 「センター案には賛成してもいいのではないか。熱意を持っている。コロニアは手伝うべき。ただ、五十億をどう集めるのかが疑問」(日系企業勤務、駒形秀雄さん)
 「天野さんの熱意は図書館建設の時もそう。信用していい。それぞれの団体で話し合い、百周年事業としてコロニアの総力を結集しよう」(天野青年図書館のあるコロニア・ピニャールの山下治元会長)
 「予想外に(来場者が)来たねえ。サクラもいるんじゃない? 彼のおかしな性格に賛成する人もいないよね。信用できるか? うーん分からないね」(六十代、一世男性)
 「みんな興味があるから、今の百周年協会に不満があるから、今日来ているんじゃないでしょうか。期待していいと思いますよ」(天野氏のブラジル側コーディネーター、吉加江ネルソンさん) 
 「問題はコロニアにリーダーがいないから。いい案を出さないから、こういう人が出てくる」(七十代二世男性)
 「コロニアがやるの、個人がやるの? 個人の名前で日本政府が何十億も出すの? 全部やってくれるんだったら、いいことでしょ。でも何もはっきりしてないよね」(与儀昭雄・ブラジル沖縄県人会長)