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輸入関税を引き下げへ=財務省が独自路線打ち出す=インフレ、為替対策として

2006年3月7日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】財務省は経済成長促進策の一環として輸入関税引き下げを主体に同省独自の路線を打ち出すことを決定した。中銀がインフレ抑制に固執し、そのため基本金利(SELIC)のドラスチックな引き下げにしゅん巡していることで、経済成長の障害になっていること、および昨年末続いているドル安傾向が一向に改善されないことから、同省が活路を見出すために立ち上がったもの。
 同省は関税引き下げによる輸入の増加で安価な外国製品が出回り、インフレに寄与することで金利引き下げにつながり、工業成長が期待されるとみている。また国内産業にも刺激となり、これが起爆剤になると踏んでいる。同省は、決定は通達で公表するもので、第三者が反論する余地はないとの強硬姿勢を示し、暗に中銀の金利政策に業を煮やした措置の様相を呈している。
 この措置は昨年後半から検討されてきたものの実施に至らなかったが、ここにきて実施の運びとなった。手始めに貿易局は二十二日にセメントの関税を従来の四%からゼロへと免除した。これを皮切りに、さらに一〇〇品目の免税や減税を検討している。
 同省によると、ドル安で輸入は増加しているものの、為替相場を左右する程の影響力を見せていないことから、関税引き下げ措置ではずみをつけたいとの方向性を強調している。
 これに対し産業界ではザルで水をすくうような措置だとして、批判する向きもある。経済が混迷している中で、早急に輸入が増加する体制にないことと、世界一高い金利を目当てに海外からの投資が増えていることで為替相場が反転しないのが原因だとして、根本的な経済政策に欠けていると指摘している。
 全国工業連盟(CNI)の調べによると、ブラジルの関税は最高で二五%の品目があるものの、平均一〇・八%で発展途上国内では妥当であるという。ロシアは九・七%、中国は九・五%、インドは六・五%、メキシコは一五・一%で、唯一韓国が先進国並みの七・一%となっている。