2006年3月8日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ブラジル社会民主党(PSDB)のジェレイサッチ党首は六日、大統領選への党公認候補を十二日までに決着することを明らかにした。同党首は有力候補とされるアウキミンサンパウロ州知事とセーラサンパウロ市長に、両人話し合いの上決断するよう委ねた。両候補は事前運動や執行部への根回しを抜きに土俵へ上げられ、ある時は和やかに、また激しく対決した。ジェレイサッチ党首は党内二分が今後の党運営にしこりを残すとして、これ以上公認候補の決定遅延はないと否定した。両人の党内運動は、サンパウロ市長の候補辞退が浮上するなどチャンポン料理の様相を呈してきた。
気を持たせた知事と市長の党公認獲得競争は、十二日に最終決着となった。熾烈を極めた両人の水面下工作は、九日には大勢が決まる模様だ。両陣営は九日までは猛烈な白い煙を立てるが、十二日には、両人による共同声明を発表する段取りだとしている。
両人は六日夜、コーヴァス前サンパウロ州知事の五年忌追悼会で出合った。追悼会は州政府主催で行われ、会場はアウキミン知事支援の舞台セットが目に付いた。追悼会はサンパウロ州交響楽団のシンフォニーで始まり、知事夫人が主事を務める福祉運動の若いメンバー七十人が入場した。七十人は「ブラジルはアウキミン大統領を必要とする」と染めたTシャツを着用していた。
サーラ・サンパウロの追悼会会場は、国会議員や党員で超満員となった。そこへ運動員に囲まれたサンパウロ州知事が入場し、会場は知事支援キャンペーンに早変りした。市長が到着したのは、その二十五分後だった。知事が市長に握手を求めたが、手が届かなかった。地下鉄バラ・フンダ駅で三日に行われたイベントに知事が遅刻して来たことへの返礼であったようだ。
追悼会ではコーヴァス前知事追憶のVTRが上映されたが、つねに前知事の傍らに控える現知事を意識したような編集であった。プログラムには、追悼の辞として知事のみが指名されていた。しかし、セーラ市長も飛び入りで宣伝を兼ね、追悼の挨拶をした。
ジェレイサッチ党首は、両人に大人の会話を要求したという。党首は傷薬を購入し、二人にタップリ塗ったので傷跡が残る心配はないと述べた。知事と市長の話し合いは、意外な結末になりそうだ。
アウキミン知事が二〇〇六年にルーラ大統領と競い敗れたら、二〇一〇年は候補を断念する。次回大統領選はセーラ市長に譲ることで、合意が進んでいるらしい。そのことは市長が市長選に立候補したときに考えていたことでもある。
PSDBは党公認候補の人選をこれ以上延ばすと、州も市も失い事態の混迷を招くと判断した。PSDBの枢機卿にとって、セーラ市長は知名度で優るが大統領候補に推すと、落選した場合二重衝突になるリスクがあると判断した。
PSDBは自由前線党(PFL)に州を九カ月、または市を二年九カ月預けることになる。大統領選をアウキミン知事に任せ、PTに負けても怪我は浅い。市は手中にあり、州と連邦政府を次回で取り返せると踏んでいる。党内情勢は市長優勢であるが、リスクで引け目を感じているらしい。一方、知事は賜杯を取ったような気分でいる。