ドル安危機の裏に何が?=有史以来初の経験=カギは米国と中国の動向=債務国から債権国へ
2006年3月8日(水)
経常収支は〇二年以来、異変が起きている。輸出は毎年倍増、外債は半減。外貨準備高がこんな豊富になったことはなかった。ブラジルは、これまでの債務国から債権国へ変身しつつある。政府と金融機関が抱える債務総額は、債権総額を下回った。
ブラジルの歴史が始まって以来、初めての経験だ。ドル通貨がレアル通貨の前にお辞儀をしている。経済アナリストは、一ドル一・九レアル以下の市場分析を始めた。需給の法則とはいえドルの洪水が起きた背景と終着駅はどこか、誰もが関心を持っている。
労働者党(PT)が政権を獲得した〇二年、経済政策への不信感でブラジルに投資する者はいなかった。それがどうだろう。今はブラジルがモテモテで、サンパウロ市証券取引所の取引高で三八%を外資が占める。草木もなびく勢いである。
ブラジル金融市場と海外投資家は、蜜月時代にある。反対に製造業への直接投資は激減している。ブラジルが投資家の注目を集めたのは、〇二年の一三〇億ドルの貿易黒字が四五〇億ドルへ飛躍したためと思われる。
政府は積極的に外債を決済したのに、まだ外貨の余裕がある。経済成長率一〇%で好調な中国がブラジルから大量の原料を輸入するからだ。ブラジル産のコモディティは過去三年間、中国の買い付けで五〇%も値上がりした。
原料輸出の半分近くを占める中国向け輸出が続く限り、ブラジルのドル余りとレアル高は止まりそうにない。中国がブラジルから大量に原料を輸入し、米市場へ製品を輸出する構図は定着した。この二つの大きな力は、世界経済を動かす原動力となっている。
ブラジルは、二大パワーの背中に張り付いた蝉だ。中国の莫大な対米貿易黒字は、米国債に投資される。米政府は政策金利で債務を管理しているが、国を挙げて借金生活なのだ。狂気の沙汰だ。米経済の破綻はいつか。誰でも薄氷の上を歩く心境である。
現在の中国は七〇年代のブラジル。ブラジルも当時は奇跡の成長に酔いしれた。中国の繁栄はいつまで続き、ブラジルの原料輸出はいつまで続くか。コモディティは、六年から八年周期で上下する。もう八年たったが、中国経済は順調で衰えを見せない。
この還流が続く限り、ブラジルへのドル流入も止まらない。レアル高対策として、ドル建て債権の決済と外貨準備の増額、基本金利の引き下げが叫ばれ、前の二つを実行した。残るは基本金利だけだが、レアル下落の兆候は全くない。
ブラジルも日本にならって超低金利によるドル安防止を検討したが、インフレの再来が恐ろしくてできないらしい。もしも、米経済が破綻し米国債のデフォルトが起きたら、最大債権国の日本と中国に取り付けが起こる噂がある。
それを見越して紙幣の模様替えと大増刷が行われたいうのだ。その後に当然ハイパーインフレが起き、スーパーから突然消えるのが必需食料品である。そのとき、ブラジルは…。