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今年の大統領選挙をこう考える=ソール・ナッセンテ人材銀行代表=赤嶺 尚由=連載第6回

2006年3月8日(水)

 そういったマスコミでの報道の仕方がルーラ候補に苦戦を余儀なくさせた原因の一つになっているようにも判断されます。しかし、逆に、年が改まってからは、そのマスコミに現役の大統領の強みとか威力を遺憾なく発揮して、連日のように登場しており、それと〃最低賃金の効果〃が公表と同時に現れている様子です。そのために、前回の選挙で、大いに政治面でのカリスマ性を発揮して、当選を果たしたルーラ大統領自身が「政治面で駄目なら、経済面で勝負をする」といった、苦肉の策とも言えそうな作戦の変更を既に口にしています。
 セーラ候補を擁立しようと目論むPSDB陣営の大きな課題の一つは、セーラ候補と大統領候補の座を合い争う形になっているアウキミン現サンパウロ州知事の取り扱い方だと思います。同知事の難点は、二〇〇二年の大統領選挙に出て、一応善戦して全国的に知名度の高いセーラ候補に比較して、サンパウロ州以外では、殆ど無名とは言わないまでも、知られていないことです。
 ですから、私は、州知事としての手腕が高く評価されているアウキミン知事が最後の最後に、多分、今年の四月ごろまでに、行政職である知事のポストを辞任して、セーラ大統領候補と連携する形で、上院議員選挙に鞍替えし、打って出そうな気がしてなりません。上院選で対立候補となるPTのスプリシー現上議は、連続十六年間も当選を重ねており、並大抵の容易な相手ではありません。アウキミン現知事の腹の内としては、セーラ候補とPSDBの大統領候補の座を争うことによって、マスコミにも毎日のように話題に上がり、上院選への運動効果も大いにあり、勿論、当選を果たすことが出来れば、セーラ政権の首相級の重要閣僚として、間違いなく入閣する新しい政界勢力図も描かれると思います。
 今年の大統領選挙の決選投票の段階に至るまでの熱い争点(戦いのポイント)は、どうも最低賃金の思い切った調整からもたらされるこの経済面でのプラス効果と、超大型の不正汚職事件からもたらされるこの政治面でのマイナス効果が激しくぶっつかり合い対決しながら、次第にポラリザソン(両極化)していきどちらの方の効果が勝るかでやがて勝負の決着が付く形勢に立ち至るのではないでしょうか。
 繰り返すようですが、最低賃金の思い切った調整からもたらされるプラス効果と今回の大型の不正汚職事件からもたらされるマイナス効果がかなり熱を帯びながら、決選投票の段階まで熱っぽく論争されて行って、やっと大統領選挙の勝ち負けと言いますか、勝者と敗者が決まる図式ではないか、と見ています。
 この二つのプラスとマイナスの選挙効果を両天秤にかけて見た場合、どうもセーラ候補の方へ次第に傾いて行きそうに思えてならない、というのが本日の私のちょっと独断偏見に近い一番最後の段階での結論であります。制限時間をはるかにオーバーしての長い間のご清聴、真に有難う御座いました。

■今年の大統領選挙をこう考える=赤嶺 尚由(ソール・ナッセンテ人材銀行代表)=連載第1回

■今年の大統領選挙をこう考える=ソールナッセンテ人材銀行代表=赤嶺 尚由=連載第2回

■今年の大統領選挙をこう考える=ソール・ナッセンテ人材銀行代表=赤嶺 尚由=連載第3回

■今年の大統領選挙をこう考える=ソール・ナッセンテ人材銀行代表=赤嶺 尚由=連載第4回

■今年の大統領選挙をこう考える=ソール・ナッセンテ人材銀行代表=赤嶺 尚由=連載第5回