2006年3月9日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サンパウロ市内で七日早朝、路線バスの従業員労組がストを決行したため、市民は足を奪われて大混雑をきたした。スト決行は六日夜半ばに決定されて抜き打ちストとなったことで、乗客は何も知らされずにバス停に長時間待たされた。交通局によると、七十二万七千人が足を奪われた。労組発表では百万人となっている。
労組では二月分の給料が予定の三日までに支払われなかったことで、急きょスト決行となったと説明している。これにより市内八路線のうち六路線のバス総数八四一七台の五二%に相当する四三八四台が運転を中止した。
スト隊は車庫前でピケを張り、営業しようとしたバスのタイヤの空気を抜き取るなどの実力行使に出た。労使間協議で話し合いが成立したことで午前六時にストが解除となったが、運行が正常に戻ったのは午前九時過ぎで、多くの人は欠勤を余儀なくされた。バス停ではそれでも混雑が続き、乗車は戦場さながらの様相を呈した。
バス会社によると、市当局の交付金が少ないことで赤字経営となり、給与の遅配が続いており、市当局と改善に向けて交渉中とのこと。これに対しサンパウロ市民事検察は、バス会社が市当局に圧力をかけるために、労組にストを持ちかけた疑いがあると見て調査している。この背景には二〇〇三年にバス会社が時の労組にストを依頼し、代償として労組幹部に一五〇万レアルを支払った経緯がある。その時の幹部十数人が全て収賄容疑で逮捕されている。