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空港の帰りは危険!=非日系研修生も被害=150万円相当奪われる

2006年3月9日(木)

 ねらわれるのは日系人だけじゃない?――。日本で一年間の農業研修を終えて帰国した研修生が、帰国の当日、空港からの帰路に強盗被害に遭っていたことが明らかになった。
 被害に遭ったのは、ジャカレイ市のコチア農業学校から農業研修のため訪日していた五人の学生。
 そのうち、ケルマさん(マラニョン)、ジョアン・パウロさん(パライーバ)、レジーナさん(セアラー)はブラジル国内の出身だが、ペルー人のセサールさん、パラグアイ人のマリッセさんなど隣国からブラジルに来て、日本で研修してきた若者もいる。
 五人の話によると、日本から帰国した先月二十五日の朝九時ごろ、空港から学校に向かう途中のヅットラ街道で三人組の強盗に遭った。事件当日、赤の小型車に乗った犯人は警察を装って街道で被害者の車を停めた後、服の下から拳銃を持っていることを示して強盗であることを告げた。
 その後、三人のうち二人が被害者の車の前後座席に乗り込んで街道奥の農地へ入り、そこで現金や荷物などを奪い、被害者の車の鍵を持って逃走したという。被害者は近くの家で電話を借り警察へ連絡した。
 五人が持ち合わせた現金約百万円のほか、パソコンやデジカメ、時計などの金目の荷物いっさいを持ち去られ、被害総額は百五十万円相当に上るという。パスポートなどドキュメント類も奪われた。五人のうち三人のスーツケースも持ち去られた。
 一行は日本の(社)国際農業者交流協会(JAEC)の研修制度を通じて昨年四月から訪日していた。埼玉、山梨、神奈川など各県の農家で昨年二月まで日本の農業を研修し、帰国したばかりだった。
 特にセサールさんやマリッセさんは、パスポートを奪われたため、母国への帰国手続きにも困難が生じているという。
 研修生は、野菜や果物、酪農などそれぞれの研修先で日本の農業を学んだ。五人とも日本語はほとんど分からず、最初の数カ月は苦労したようだ。
 強盗に遭った後、すぐに日本の研修先に連絡を入れた。心配はしていたそうだが「体は元気だから」となぐさめられたという。
 現金被害も大きいが、「写真や日本でつけていたノートを取られたのがさびしい」と被害者の多くが話す。研修中、農業に関することだけでなく、滞在先の家族から教わったことを書き留めていたノートだった。
 大きな被害には遭ったが、五人は不思議と明るい。「全部取られてしまったけど、日本の『お父さん』に教えられたことや技術は誰も盗めないから」と口をそろえる。
 「何もないけど、がんばります」―。日本の『家族』に向け、五人は笑顔でメッセージを送った。