2006年3月10日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙四日】リオデジャネイロ市内の陸軍駐屯部隊に三日未明、七人組の賊が侵入し、警備隊員を拉致した上で、格納庫から武器を奪って逃走する事件が発生した。当局では、同部隊の周辺には幾つものファベーラが存在することから、これらを根城とする麻薬組織の犯行とみて捜査している。犯罪組織が大量の武器を手っ取り早く入手出来る事から軍隊襲撃は過去にも例があるが、二〇〇四年を最後に途絶えていた。これまでは連休中に発生する例が多かったことで、軍上層部は、カーニバル連休で警備が手薄になることを見越して各部隊に警戒の注意書を配布した矢先の出来事だった。軍隊をも恐れぬ大胆な犯行に市民に恐怖が広がっている。
事件は北部サン・クリストヴォン区の輸送駐屯部隊で発生した。三日午前三時五十分頃、カムフラージュ用の制服に似た軍服を着用し、忍者風の覆面を被った七人組が裏門から乱入した。一味は隊内を横切って正門脇にある警備隊員詰所に入り、隊員を銃で脅し拉致した。その際三人の隊員が暴行を受けて軽いケガをした。一味は格納庫の鍵を奪い、そこから自動小銃十丁とピストル一丁を奪い、正門前に待機していた車で逃走した。
この時刻は警備隊の交替時間だったため、歩哨兵は一連の動きを見ていたが、交替の引継ぎをしているものと思い込み、意に介さなかったという。当局では部隊周辺のファベーラを根城にしている麻薬組織の犯行と見て捜査している。また隊内の地理に詳しい事や犯行が素早く、格納庫の様子にも通じていたことから、年期明けで除隊した元所属隊員が一味に加わっていると見て身許割り出しを急いでいる。さらに防犯カメラや警報器などが作動しなかったことから、内部に共犯者がいる疑いがあるとして調査を始めた。
軍上層部では過去の経緯から犯罪組織は連休中に活動するため、特に先週はカーニバルで警備が手薄になることで、警戒を促す注意書を各部隊に通達していた。しかし襲撃された同部隊では警備の補強は行わなかった模様。
陸軍は、市警と軍警の協力のもと、犯人逮捕と盗品奪回に向けて大規模な作戦を展開している。犯人が逃げ込んだと思われる周辺のファベーラを全て封鎖して、しらみ潰しに家宅捜査を始めると共に出入りする住民をチェックしている。これには、リオ大隊のみならずブラジリアとゴイアス州の大隊にも出動命令を出して応援部隊とした。ファベーラ周辺はヘリコプターや戦車も出動した。上層部は軍の威信にかけても事件を解決すると意気込んでいる。
同市内では、二〇〇四年五月、空軍の倉庫が襲われて、二十二丁の自動小銃をはじめ弾薬と車が強奪された。また、二〇〇二年三月には自動小銃、ピストル五丁と手りゅう弾五個が盗み出された。五人の隊員が逮捕されたが、証拠不十分で不起訴となった。