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国連環境会議始まる=クリチーバ市で=中心議題はGM表示法=生態系保護と資源開発は両立?

2006年3月14日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】Eco92がリオデジャネイロ市で開催されて以来、最大級となる国連主催の環境会議が十三日、クリチーバ市で始まる。同会議には世界の百三十二カ国から外交官や科学者、環境団体代表など多数が参加し、カルタヘナ議定書の付随事項や細目について討議する。同会議は、続いて二十日から始まる百八十八カ国代表による生態系と遺伝子組み替え(GM)作物についての国際会議へ向けた準備部会でもある。外交官や科学者、団体代表にとっては、討論のマラソン競争の幕が切って落とされることになる。
 リオデジャネイロ市が環境保全と持続可能な生物資源の開発本部となって以来、十四年振りの国際環境会議となる。最初は第三回カルタヘナ付随会議、続いて第八回生態系会議は国連の音頭で、環境に関する取引の場となる。前者は環境会議の孫に当たり、後者は娘である。今回のテーマのうち、特にGMが論戦の争点となっている。
 生態系会議では、気候の変化による影響がリオ会議以来関係者の一致した注目点である。リオデジャネイロ宣言に署名した百八十八カ国は、動植物の生態系保護と資源開発で各国の義務と権利を明確に設定する見通し。動植物の生態系は、人類の生存と深い関係にあるからだ。
 カルタヘナ議定書に署名をした百三十二カ国は、気候の変化への対応やGM生産物の取引、地球温暖化現象を防止するための炭酸ガス削減を謳った京都議定書に全員合意した。
 今回の会議の中心議題は、輸出入でのGM生産物の表示法(MOP)とされる。レッテルの標識は「GMを含む」とするか、「GMを含んでいる可能性がある」とするか。どうでもよいように見えるが、記号化は実用面で大きな差がある。
 表現法は言葉のアソビのように見えるが、商取引や経済を左右する大きな問題である。「含む」と明記されると、GMと非GM隔離のために集荷や保管、運搬で多大な経費がかかることを意味する。
 「含む」を支持したのは、マレーシアとカナダ。ブラジルは先に、制定されたバイオ安全法に基づきアグリビジネスに好都合な「含む可能性がある」を支持する意向。バイオ安全法の適用については、ブラジル政府内にも賛否両論あり、攻防は激しい。無駄な摩擦を避けるため、政府は最終的に十八日まで詰めの議論を行う考えだ。
 否定論者は「含む可能性」ではメーカーの責任が不透明で、消費者は何を食べているか分らないという。賛成論者は製品の安全性を保障すれば、GMか否かは重要ではないという。仮に「含む」とあっても、その表示自身は何も意味しない。GMもテロの一種とする考えは、複雑化するだけで論理の飛躍だとした。環境会議は科学的根拠と理性の場であって、感情の会議ではないという。
 ブラジルは生態系の宝庫で世界の科学者が、新薬の開発と工業用微生物を求めて、ブラジルを探索している。環境会議は無闇に開発を制限するものではなく、生物資源の有効利用と研究成果の公平な分配を目的としている。コソ泥的資源開発に釘を刺し、途上国と先進国の資源共有を目指している。