2006年3月15日(水)
国連食糧農業機関(FAO)は二十八日、欧州や中近東、アフリカで発生した鳥インフルエンザの影響でブロイラーの消費が二〇〇五年から〇六年にかけて三〇〇万トン減少すると発表した。FAOの発表では、ブロイラー輸出国で次々とH5N1型ウイルスの感染が確認され、鶏肉の価格が暴落、ブロイラー生産の途上国では多くの労働者が失職した。H5N1型ウイルスの繁殖阻止が現状では不可能とみられ、欧州全体へ野鳥や渡り鳥を通じて蔓延する可能性があるという。現在未感染のオセアニアも時間の問題とされる。残るは南北アメリカ大陸のみとなり、厳しい感染予防対策が必要とされる。
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遺伝子組み替え(GM)農産物は現在、二十一カ国で市民権を得て、九〇〇〇万ヘクタールで栽培されている。世界貿易機関(WTO)も安全性を認めた。米国では食品の四分の三がGM食品で定着した。しかし、EUでは消費者の五四%が、GMを危険視し、差別と偏見が根付いている。いまや米国はEUのGMに対するこだわりが、アジアやアフリカへ影響を及ぼすことを恐れている。GM農産物の栽培は一九九六年、米国の綿や大豆、トウモロコシ栽培に始まり、もはやGMなくして農業はない。GM技術は病気や干ばつ、砂漠、超酸性土壌に強い品種を開発している。予測された人口爆発と食糧危機を解決したのも、GMのお陰である。ブッシュ米大統領は先日、EU首脳を招いてGM料理を賞味させた。EUではGMを奨励する国は少ない。フランスなどは運動家を唆し、GM農産物に放火させた。関係者はEUのGM時計が遅れているだけと楽観している。
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イタマラチーは、三月二十八日に行われるイスラエル総選挙に注目している。ブラジルは、コモディテイ大国として揺るぎない地位を築いた今、イスラエル・パレスチナ問題を国際情勢の座標軸として見ている。外務省が特に関心を抱いたのは、ガザ地区ユダヤ人入植地の強制撤去を決行した極右派のシャロン首相の変身振りで、背景に何があったのか情報収集を急いでいる。誰が何を見返りにシャロン首相に、このようなことをさせたのかはミステリーだ。