2006年3月15日(水)
日本に関する書籍を多く出版するJBC(Japan Brazil Communication)出版からこのほど、日本の名前についての辞典が刊行された。
「Dicionario de nomes japoneses(日本名前辞典)」=写真=は全三百八十八ページ。八百十九の日本の名前がアルファベット、漢字、ひらがなの三種類で掲載され、それぞれの意味が説明されている。
「日本の名前」という、これまであまり聞かれなかったジャンルの辞典を書いたのは、日本語教師の真藤典子さんだ。
真藤さんは茨城県に生まれ、十歳の時に家族でブラジルへ移住した。その後はこちらの学校に通い、サンパウロ大学を卒業。USPではアラビア語を学んだ。
現在は、サンパウロで日本語教師をするかたわら、同じJBCの月刊誌で漢字についてのコラムを執筆。漫画の翻訳も行っている。
きっかけは、生徒たちから生まれた。「日本の名前をもつ子供たちが、自分の名前をローマ字でしか書けない」。書けない理由の一つが、名前の意味を知らないということだった。「日系の人たちに、日本語の名前の意味を理解してほしかった」
執筆を始めたのが昨年の後半。日本の主な名前八百十九種類を選び、説明を加えた。「日本は、すごい数の赤ちゃんの名前があるでしょう。そこまで書きたかったのですが」。漢字の説明については、メインの意味を中心に訳しながら執筆を進めたという。
同書ではこのほか、皇族や著名人の名前、あだ名のつけ方なども紹介している。
漢字とともに名前の意味が分かると、子供たちはどのように感じるのか。「日本の歴史を感じるというか、自覚するみたいです」と真藤さん。「試験でも、それまではカタカナやローマ字で名前を書いていたのが、漢字で書くようになるんですよ」と嬉しそうに話す。
これが初めての本だという。「友人に聞くと、アメリカの書店では日本語や文化に関する本がたくさんあるそうです。ブラジルは大きな書店でも少ない。こんなに日系人がいるのに残念だなと思っていました。それも書いた理由の一つかもしれません」と語る。また「日本語はそんなにおそろしいものじゃない。少しでも日本語を身近に感じてもらえたら」と期待を表わした。
本が完成し、両親からは「良かったな」という言葉があったそうだ。「これからもっといろんな人が日本語について書いてくれるといいですね」と話す真藤さん。一冊増えましたね、そう問うと、「良かった」と明るく答えた。
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同書は十九日まで開催されるサンパウロ国際図書ビエンナーレに出品中。三十九レアル。JBC出版(電話5575・6286)でも扱っている。