2006年3月16日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】リオデジャネイロ市内の軍隊の格納庫で武器が盗み出された事件を追及していた軍部は十四日、同市内ファベーラ・ロシーニャ脇の草むらで盗品を発見、回収した。
盗まれたのは自動小銃十丁とピストル一丁で、すべて回収された。武器は盗み出された当時の状態を保っているものの、念のため科研捜査課での検証に回された。
これにより十二日間にわたる出動した軍隊の捜査で盗品回収という大義名文の目的は達せられたものの、軍首脳部は引き続き犯人グループ逮捕と背後関係の解明に全力を上げるとの強硬姿勢を示している。
アレンカール副大統領兼国防相は、軍隊の威信を見せつけた成果だと賞賛した上で、犯罪取締りには軍部の強硬姿勢が必要だとの見解を示し、今後州政府の要望があればいつでも軍隊を出動させる用意があるとの考えを強調した。またこれまでの動向を憂慮していたルーラ大統領が盗品回収の報に対して、「軍部の活動を高く評価する」と語ったことを明らかにした。
いっぽうで、犯人と目される麻薬組織が盗品を引き渡すことで軍部と取引をして密約を結んだとの市中の噂に対し軍上層部は、「軍部が犯罪者と取引したり妥協することはありえない」として噂を真っ向から否定した。
盗品発見は意外な結末だった。軍東部駐屯隊に十四日夕刻、オートバイに乗った青年が現われ、盗品の隠し場所を密告して立ち去った。密告や通報は守秘となっているため、この青年の身許などは問われなかった。今回の事件で当局はこれまで九百四十五本の密告電話を受けている。ほとんどが捜査を錯乱させるためのガセネタだった。
しかし青年の情報は真実で、パトロール隊は指定通り、ファベーラ・ロッシーニャの脇の草むらに隠されていた武器すべてを発見した。軍部では同日早朝から同ファベーラを包囲して捜査したことで、組織が観念して今後の追及から逃れるために盗品を引き渡したとみている。
さらに当局は、軍隊が犯人追及で主だったファベーラを完全包囲し、麻薬密売が事実上ストップしたことで、組織の財政状態が悪化したため盗品を引き渡して軍隊を撤収させる動きとなったと推測している。