2006年3月17日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】農地占拠運動(MST)メンバーによる活動が今年に入り活発化している。今年一月から三月十日までの六十九日間でメンバーらによる土地の不法侵入は五十七件に上り、過去最高だった昨年の五十六件を早くも上回った。
活動は不法占拠にとどまらず、国道の封鎖、銀行支店の占拠、農地改革院への不法侵入に加え、外資企業の作物の焼打やラボの破壊に及んでいる。先週は砂糖キビ畑を襲い作物を荒らした上で、在庫品二トンを焼き尽くす暴挙に出た。
農務省がIBOPEに委託した世論調査では、百四十二都市の市民の七六%が、農地解放の主旨は理解するも実力行使の野蛮な行動には賛同できないとの回答を寄せた。MSTの活動は「赤い(決起)運動」として知られており、農地解放を求めて私有地の不法占拠も所かまわず行い、地主との争いで死者も出た経緯がある。
そもそもMST運動には一九八八年以来、当時野党だった労働者党(PT)が肩入れし支援してきた。二〇〇二年の大統領選ではルーラ候補のイメージダウンになるとの配慮から、不法占拠は一〇件のみにとどまるという癒着ぶりを示した。このため現在与党となった同党はMSTに対して強硬姿勢をとれないのが実情だ。
逆にルーラ大統領は就任早々の二〇〇三年にMSTに対し平和的話し合いを申し出て予算の投入を実施した。その折、MSTのシンボルの赤い帽子を被ったのが語り草となっている。関係者はこの癒着でMSTが増長し、行き過ぎ行為に走っていると批判的になっている。