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コラム 樹海

 山口県岩国市の住民投票が話題になっている。米軍再編に絡んで神奈川県厚木基地に駐留する米空母艦載機57機と兵士ら1600人が移駐する問題について市民らの意見を問うというものであった。この住民投票には反対する人々も多く、棄権を呼びかけもしたけれども、予想通り―移駐に反対が87%にも達しマスコミを賑わせ、いうところの文化人を喜ばせた▼この住民投票に法的な拘束力はない。これは井原勝介市長もはっきりと認めている。しかも、岩国市はこの20日に周辺の7町村と合併することになっており、井上市長も明日の19日に失職する。ならば、なぜ急いで住民投票しなければならなかったのか―である。一部には、4月に実施される市長選挙の運動さと指摘する向きもあるし、もっと慎重であって欲しかった▼事は日本の安全保障に関する重大事である。こうした安保については国家が責任を持ち行政や法的な整備もする。従って―この問題(艦載機の受け入れ)を住民投票に掛け「市民に問う」のは適切とは申しかねる。市民の意見を求めるのであれば、町村合併など自治体で自己完結するものに限るべきではないか。もちろん、小泉首相も安倍官房長官も「移転計画に変更はない」と語っている▼この住民投票に新聞は賛否両論だが、米当局も沖縄の普天間基地移設や艦載機移駐が認められないのなら米海兵隊7000人のグァム移転も白紙になるとしている点にも目を向ける必要がある。北朝鮮のミサイル実験や中国の軍事的脅威もあるし日本の防衛と安全にはしっかり取り組みたい。   (遯)

 06/03/18