ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | デジタル規格めぐり交錯する思惑=3方式いいとこ取りの第4案も

デジタル規格めぐり交錯する思惑=3方式いいとこ取りの第4案も

2006年3月22日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】ブラジルのデジタルTV市場では、十年間に一〇〇〇億レアルが動くといわれている。ブラジルで規格が採用されれば、南米全体で需要獲得が期待できるため、数兆レアルの市場とみられている。デジタル規格の選択は、各国のロビイストにとって天下分け目の関が原といえそうだ。
 ロビイストの戦いはマスコミも動員し、ルーラ大統領が日本規格に決めるよう指示したとか、してないとか、色々な策略が渦巻いているようだ。ブラジルを舞台に三カ国代表は、各国政府の後援はもちろん企業グループや投資家グループ、専門家チームなどの支援を受けて凌ぎを削っている。
 規格の入札に向けたジレンマは、法令四〇九一号によりデジタル規格の選択決定権がコスタ通信相にないことだ。同法で制約を受ける通信相は閣僚としてではなく、TVグローボのロビイストに見える。また同相は、既存TVネットワークからも日本規格の導入を依頼されているらしい。
 最終的には大統領ではなく、技術研究院(IPT)の評価で決まるらしい。IPTは二月十日に報告書を提出したが、日本規格が最も優れるとは明言していない。通信相は報告書の公表を控え、秘密文書扱いにした。三方式のうち一つに絞らず、いいとこ取りの第四の方法を案出しようという案もある。条件として小資本で立ち上げられ廉価、消費者に軽負担というのだ。
 別の案はブラジルのデジタル研究者に、ソフトウエアとプラス・アルファー規格開発のチャンスを与えようというのもある。ブラジルも九十に上る研究グループと数多の企業グループ、大学研究室グループによる二十二のデジタルコンソーシアム・グループが研究を行っていた。
 ブラジルはデジタル開発に、すでに五〇〇〇万レアルを投じた。政府は三カ国の規格にも国産規格にも、腰入れする考えはない。デジタルの規格選択では世界各国の政府が、既存のTVネット・ワークや電話企業と一線を隔している。その選択は一国の運命を左右する難しい決断だからだ。
 情報分野は郵便や映画を初めラジオ、家庭用テレビ、ケーブルテレビ、BSテレビ、ファックス、固定電話、携帯電話、Eメール、ホームページ、インターネット、V0D、TV―IP、ノートブックと日進月歩の勢いで、新型機器が発表されている。法整備が間に合わないため、無法地帯の様相さえ伺える。