アグリビジネス

2006年3月22日(水)

 鳥インフルエンザH5N1型は、ブラジルに上陸していないのに影響が出始めた。ヨーロッパと中近東で、ブロイラーの消費と輸入注文が激減したからだ。ポルト・アレグレとラジェアード、ドラードスに処理工場を持つアヴィパル社は四月、六千人の従業員に操業停止のため集団休暇を出すことにした。状況の好転がない場合は、解雇に踏み切るらしい。同社は製品の八〇%を東欧と中近東へ輸出していた。下請けの養鶏場二千八百カ所も、二月から飼育を停止した。ドウクス・フランゴスル社も処理場四カ所を操業停止し、従業員九千人を解雇した。
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 ケーン(さとうきび)の収穫が始まったのにアルコールの市場価格は三日、さらに値上がりした。無水アルコールが二・四%値上がりしサンパウロ州で一・一七六八レアルに、水和アルコールが四・一%上げ一・二〇レアルに付けた。中央南部の精製所二百五十カ所のうち二十五カ所が新しいアルコールの生産を始めたので三月には入荷するが、値下げは期待薄とされる。十分な量が出回るのは、四月下旬になる模様だ。三月初めの値上げでアルコールの消費は、サンパウロ市だけで二五%減った。さらに全国レベルで五〇%減の落ち込みが、見込まれている。しかし、フレックス車の販売には影響が出ていない。
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 過熱気味の経済成長に伴って農畜産物の需要も増加と中国が発表した。中国政府が牛肉や砂糖、綿、油脂などの輸入拡大を検討していることをオーストラリア農務省が報告した。中国と自由貿易協定を結んだ同国は、チャンス到来を期待している。当然ブラジルにも、お鉢は回ってくると思われる。中国との自由貿易協定には、チリとニュージランドが農産物輸出で食指を動かしている。ブラジルはメルコスルを通じて中国との自由貿易協定を望んでいるが、恐れるのは中国が送り込む工業製品の怒涛である。またパラグアイが台湾と自由貿易協定を結んでいることも、問題になりそうだ。中国は食糧の自給は可能というが、干ばつと農耕地の疲弊化で年々農業生産が低下している。