豊饒の地方とリオを表現したのは、チャールズ・ダーウイン(一八〇九─八二)だった。一八三二年四月~七月、ボタフォゴ湾に滞在。生物が到る所に充満していて、眼を引くものに限りなかったという。
アマガエルの鳴き声、コオロギのコンサート、蛍の光……。散歩に出かけるのが、楽しかったにちがいない。
それから百七十四年─。旧首都は世界三大美港の一つで、観光客を魅了してやまない。一方で麻薬や暴力も目立つ。青少年の麻薬密売の実態が、テレビで改めて浮き彫りにされたばかりだ。
進化論を唱えた博物学者を、嘆賞させた風景に出くわすことはあるのだろうか。
クリチーバで、生物多様性条約(日本も加盟国)の第八回締約国会議が開かれている。人間活動によって、種の保存が脅かされているのに変わりがない。 (古)
06/03/23