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最高裁=連立・選挙協力は統一=下院の修正案却下=各党選挙戦略塗り替えへ=ガロチーニョ氏出馬断念か

2006年3月24日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】連邦最高裁(STF)は二十二日、十月実施の総選挙で連立関係と選挙協力を大統領選から上下両院、州知事、州議まで統一する選挙高等裁(STE)の措置(ヴェルチカリザソン)について、下院の憲法修正案の実施を延期する裁決を下した。最高裁のグラシエ長官が、制度の変更は連邦令十六号により選挙実施の一年前に行った場合のみ有効だと述べた。変更はSTE措置を下院が不服とし、最高裁へ上訴していたものである。大統領選で競合関係にある党との連立を地方選では認めないため、憲法修正案の実施は二〇一〇年以後となる。
 選挙高等裁が先に、連立関係は国政レベルで定められる以上、地方レベルでも尊重すべきとする見解を発表しており、最高裁の判断は予想されていた。制度の変更も一年以上前と連邦令に明記されており、十月選挙まで七カ月しかない現状では無理であった。
 議会が連邦令に果たす役割は多いが全部ではないし、上下両院の合意といえども連邦令の基本を変更することにはならないと、最高裁はいう。大統領選に向けた連立や協力の制限は、政党の選挙戦略を大きく塗り替えることになる。
 大きな痛手と予想されるのは、ブラジル民主運動党(PMDB)の大統領選公認候補に選ばれたばかりのガロチーニョ氏。労働者党(PT)との連立関係を保ちながら十八州で州知事を狙い、自分も大統領選への出馬を目論んでいた。大統領選でつまずいても、地方で収穫を得るか。PMDBは今回地方を固め、次回の大統領選で勝負するかだ。
 自由前線党(PFL)は、リオデジャネイロ市を押さえながらマイア市長を大統領選へ送ろうと考えていた。しかし、最高裁の裁決が選択肢を狭めたことを認めた。サンパウロ市ではセーラ市長が知事選に出れば、PFLはサンパウロ市を獲得する可能性がある。アウキミン知事はPFLとの全面協力を模索中だが、最高裁裁決の影響はないという。
 政界は、最高裁の裁決をPTへの貢物と見ている。ブラジル民主社会党(PSDB)への余禄は、ほとんどない。PMDBが大統領候補送り出しを断念すれば、ルーラ対アウキミンの対決になる。ガロチーニョ氏が立候補すればルーラ票を食い、PMDBの地盤である十八州の知事と下議を伴い、二次選へ生き残れる可能性があるとみられている。
 上院は元最高裁長官のブロサルド氏に、ヴェルチカリザソン(連立一本化)の無効化手続きを依頼しておきながら忘れてしまったらしい。下院が可決した憲法修正案を守り、議会の意地を見せるため無効化工作の音頭を採ったのは、カリェイロス上院議長であった。
 ブロサルド氏は上院の顧問弁護士であるが、依頼人と弁護人という信頼関係の見地から上院議長の要請に気が進まなかった。手続きは政治工作を有利に運ぶため、弁護士の通常期限より早い書類提出を求められ、注文に応じた。ブロサルド氏はジョビン判事と国立図書館で出会い、上院議長が同氏の提出書類を引き出しに放り込み、紙くず同然にしたことを知った。