2006年3月25日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】連邦警察は二十三日、邸宅元管理人フランセニウド・コスタ氏を政治的陰謀と野党による教唆の容疑で取り調べることを明らかにした。連警は無断開示された銀行口座の他、資産明細と電話明細の開示を裁判所へ正式に申請した。連警の取り調べは、財務省管下の金融取引審議会(Coaf)による特例のスピード要請によるもの。実父から貰ったとする二万五〇〇〇レアルの預金についても、不正取引の有無を調べることになった。管理人に対する政府の圧力は、はからずもPT政権の隠れたマフィア的顔を見せることになった。
重要参考人として連警の特別保護下にあった元管理人は、容疑者に一転した。収入に不相応な預金を持っているとしてCoafは、資金洗浄などの不正取引関与を示唆した。中央銀行は一〇万レアル以上の資金移動には資金洗浄容疑と不正取引で目を光らせているが、管理人の口座は小額預金だけである。
管理人の交友関係を洗った連警は、実父の贈与預金説を疑問視している。さらに、野党関係者との接触を解明する。管理人は四時間にわたる連警の取り調べを受けた後、立場が一変したことに驚いた。管理人は実子を捨てた父親から金銭を受け取ったことで、記者団から侮辱の宣告と冷笑を浴びせられた。
管理人は一連の開示ついでに、二〇〇二年の投票用紙開示をも求めた。ルーラ大統領に投票したが、その報いが容疑者扱いだと苦言を呈した。一縷の望みを掛けて投票した大統領はボスをかくまい、見た通りに変身したと抗議した。
管理人を犯罪人扱いする政府の対応に上院は不快感を表明した。エレーナ上議は、無力に等しい管理人を社会的に葬るCoafと連警の合同作戦であると非難した。連邦貯蓄銀行は背後で政府の謀略に協力した責任者で、これは犯罪組織の手口であることをよく知っていたはずだと同上議が告発した。管理人が二十三日に連警で供述している間にCoafは同人を犯罪人とする手続きを行い、連警と検察庁へ手を打ったという。
管理人の実父が貯蓄銀行に預金をした一月と二月には知らん顔していた同銀行が、なぜ管理人の財務相告発の証言直後に、口座の無断開示を行い財務省へ通報したのか。これは管理人を陥れる政府がらみの陰謀だと糾弾した。
エレーナ説には、多くの上議が納得した。大統領は財務相を守るため、トカゲの尻尾切りで難局を回避するとみられる。当面トカゲの尻尾は、連邦貯蓄銀行の総裁らしい。同銀行は管理人の口座を無断開示した職員二人を突き止めた。トゥーマ上議が、財務相の去就は大統領が決めるから、二人の名前と命令者の即時公表を求めた。
ブラジル民主社会党(PSDB)はパロッシ財務相に財政責任法を適用し、インピーチメントの申請書をレベロ下院議長に提出した。申請の受理は、下院議長が決める。下院議長が公平な立場で判断をするか、与党から議長に推薦してもらった恩義を感じるか微妙だ。もし受理されると、最高裁の判決が出るまで財務相は一時離任になる。管理人の口座無断開示も、財務相の責任として問われる。