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――堀村大使、CIESPで講演――100周年は好機=EPA締結を呼びかけ

2006年3月25日(土)

 堀村隆彦在ブラジル日本国大使は十六日午後、サンパウロ州工業連盟(CIESP)貴賓室で「ブラジル日本人移住百周年に向けた日伯EPA協定締結への取組み」をテーマに一時間ほど講演し、ブラジル人企業家を中心に日本進出企業代表ら約七十人が聞き入った。
 最初にクラウジオ・ヴァス同連盟会長は、「日伯関係は急速に接近している。デジタルTVの方式に関しても、日本は素晴らしいポジションにいる。特にサンパウロ州において日本移民の存在は大きく、その影響は各方面にわたっている」とあいさつをのべた。
 堀村大使はまず、六〇―七〇年代の日伯関係を振り返り、資源供給国ブラジルと技術・資金大国日本の関係が良好に推移し、互恵関係が築けていたと総括。ブラジルの「失われた八〇年代」、日本のバブル崩壊の九〇年代を超え、両国は今、新しい関係構築の時代に入ったと提言した。
 〇四年に比較すると〇五年は二二%もブラジルからの輸入が増え、四十四億ドルに達した。ブラジル側に「より魅力的な投資環境を整える」提言をしつつ、ODA資金も〇四年までに四十億ドルが投下され、新関係構築へ機運が高まっていると強調した。
 日本はすでにEPA(経済提携協定)をシンガポール、メキシコと結んでおり、さらにマレーシア、タイ、フィリピンと承認待ちの段階、ASEANとは交渉中、チリ、インドとは検討に入った。これらが進むほど、日伯関係は不利な状態に置かれることが予想されるため、日本メルコスール間の構築は早急な課題となると提言。
 日本が提携する場合の五原則をあげ、最初の一歩を踏み出す必要を論じた。「日本移民百周年は、両国の将来の関係を考える上で重要なタイミングである」と位置付け、日伯二十一世紀協議会が中期ビジョンをベースにした再活性化議論を深めていると語った。
 講演後、ヴァス会長は「今の話は活性化への道筋だ。大変な好機が将来にひかえている。もっと我々も認識を深めなくては」とコメントした。
 サンパウロ州電子電気工業連盟のルイ・サーレス・クーニャ会長は質問に立ち、「中期でなくすぐに始めたい。おそらくデジタルTV方式は日本で決まり。我々の業界としては、日本からどのような協力がえられるのか、どんな投資があるのか知りたい」と求めた。堀村大使は「大掛かりなしかけには相応の準備が必要」と理解を求めた。午後六時過ぎ、解散となった。