2006年3月25日(土)
ブラジルの日系スポーツ界を支援して半世紀――。伝統を誇る第五十回パウリスタ・スポーツ賞(本紙主催)の贈呈式が二十三日午後七時から、文協ビル記念講堂で行われた。多くの来賓を含め約五百人が駆け付け、節目の年を祝った。今年は従来のスポーツ部門に加え、パークゴルフ及びマレットゴルフを含めた十二部門で活躍した十三人を顕彰。五十年の節目の年を記念し、五人の功労者に特別賞が贈られた。
中野光雄・本紙常任顧問(日本語)、オイスカブラジル総局の花田ルイス副会長(ポ語)が開会を宣言、司会を務めた。
主催者を代表して高木ラウル・ニッケイ新聞社長があいさつ。同賞の歴史を振り返り、受賞者の功績を称えた。
在サンパウロ日本国総領事館の西林万寿夫総領事は、戦前戦後を通して移民社会がスポーツを導入してきたことに触れ、「日伯親善に寄与しており、ブラジル柔道は世界水準に達している」と評価した。
ブラジル日本文化協会の上原幸啓会長は「(柔道や相撲など)日本発祥のスポーツがブラジルで発展したのは多くの人の尽力があった」と述べ、受賞者に敬意を表したうえで、後進の育成にも期待をかけた。
来賓あいさつに続き、受賞者に来賓からそれぞれ記念プラッカを授与。会場からは大きな拍手が送られた。
今年の受賞者は以下の通り。谷崎治男(ゲートボール)、田中信(ゴルフ)、渋谷仁(陸上)、山本八代郎(剣道)、山岡エヴァウド(野球)、上田セルジオ(卓球)、鶴賀栄治(柔道)、ジョン・アントニオ・ウィズマン(相撲)、小島リカルド(水泳)、中島リタ(庭球)、谷川悟、谷川節子(パークゴルフ)、白旗信(マレットゴルフ)(十二部門十三人、敬称略)
また、今年は同賞創設五十年を記念して功労者に特別賞が贈られ、柴田勗(サッカー)、アウレリオ・ミゲール(柔道)、野村義人(ゴルフ)、大原ルイス(庭球)、岸川ジョルジ(古武道)の五人が栄誉に浴した。
ブラジルにパークゴルフを持ち込んだ谷川悟・節子夫妻と、日伯のサッカー交流に寄与した柴田勗さん(札幌大学名誉教授)は、北海道在住。この日のためにブラジルを訪れた。プラッカを授与後、受賞者を代表して山本八代郎さんが謝辞を述べた。
コロニア柔道界が育てたソウル・オリンピックの金メダリスト(後の五輪で銀、銅メダルも獲得)で、現在サンパウロ市会議員をつとめるアウレリオ・ミゲールさんは、「柔道を通して、日本文化を知ることができた。今まで指導にあたってくれた先生、日系コロニアにも感謝したい」と大きな体全身で喜びを表し、会場から万雷の拍手が送られた。
大サロンに会場を移して祝賀コクテル。西林総領事、高木本紙社長によるケーキカットに続き、ブラジルのパークゴルフ発展に寄与したロンドリーナの吉井篤さんが乾杯の音頭を取った。
出席者は食事を囲み懇談。同賞の半世紀にわたる歴史を振り返り、これからの日系スポーツ界の発展を確認しあった。
■パ・スポーツ賞の歩み■
パウリスタ・スポーツ賞(Premio Paulista de Esporte)は一九五七年、パウリスタ新聞社(ニッケイ新聞社の前身)の創刊十周年を記念し、スポーツ振興を図るために創設された。
勝ち負け紛争などで分裂混乱したコロニア社会に平和を取り戻すために各方面でのスポーツ活動が重要な役割を果たしたことから、パウリスタ新聞社は積極的に報道を続けた。
九八年に日伯毎日新聞社と合併し、ニッケイ新聞となった後も同賞は継続され、現在に至っている。
コロニア・スポーツ界の著しい発展にともない、受賞部門は次第に増え、今回はゲートボール、ゴルフ、陸上、剣道、野球、卓球、柔道、相撲、水泳、庭球、パークゴルフ及びマレットゴルフの十二部門となった。