2006年3月25日(土)
ブラジル学校の視察を終えたアマード大使一行と後藤博子議員。町内の「レストラン・ブラジル」で、同町で活躍するブラジル人たちと会食をしながら話がはずんだ。
午後三時、大使と議員は大泉町役場を訪ね、長谷川洋町長をはじめ村山俊明議長、登坂俊彦教育長など町の執行部と懇談した。
後藤議員は二月十六日の浜松市での視察のこと、大使と共に訪れた経緯、外国人の労働力、頭脳、能力を日本が受け入れなければならない時代がきていることを説明。そして、在日外国人の子供が、日本でも、自国でも、世界の中でも活躍できる人材として育成されることが、いかに大切なことであるかを語った。
アマード大使は、「私は四ヶ月前に来日しました。天皇陛下に信任状を奉呈致した折、陛下ご自身から、在日ブラジル人のことをとても気にかけておられることをお聞きしました」とその時の様子を語った。
大使の着任後、大泉町の関係者はいち早く東京に大使を訪ねている。就任早々に長谷川町長が大使館に足を運び、ブラジル国に敬意を表したことに対し、大使も同じ思いで今回の視察に同行した経緯を説明した。
町長の訪問の折、大泉町が抱える課題を聞き、そのいくつかの課題解決には資金が必要だが、まず何事も信じ合うことが大切であることを述べ、〃この町を信じたい〃という自分の胸中を述べた。
町長は、「大使の、子供たちを犠牲にすることはいけないという考えは、われわれもまったく同感です」と語り、「世界中のあらゆる子供が、自分の可能性をしっかり発揮できるような社会が望ましい」と考えを述べた。そして「ブラジルの子供たちについても、日本人の子供同様、その可能性が大きく開けるような施策を展開したいと心から思っているところであります」と、その決意の固さを語った。
会談では、主に子供の教育の大切さについて話し合われた。
登坂教育長は、外国人の密度が日本一高い町なので、児童生徒の比率が高いのも当然で、その中でもブラジル国籍の子供が占める比率が最も高いことを説明。
「この町の外国人の就学年齢の子供は約六百人です。その半分弱が公立学校以外の日伯学園やレベッカ・ティーチング・スクールなどで学んでいます。町も色々と試行錯誤したわけですが、その施策は、日本の自治体の中でも一番進んでいるのではないか、と自負しています」と語った。
県は、町内七つの公立学校に十名の日本語指導教員を配置。さらに町が通訳をつける体制が九一年頃から本格化し、整っている。だが、課題もある。
ある学校では、年間約五十名の子供の出入りがあり、その中の七〇%がブラジル児童である、という。
「本心ではポルトガル語を学ぶことを望んでいるのですが、費用がかかるために公立学校へ通い、日本語を無理に学ばされているという面もあります」と、教育長はポ語学校の役割の大切さも指摘する。
村山俊明議長からは、税金未納者が多いことなど、いくつかの課題が説明された。
大使は「この町が外国人受け入れのモデルになって欲しい」と述べ、町長は「これからは地方自治体、日本政府、ブラジル政府が共に、率直な意見を交わしていきたい」と語った。
町長たちは、町内のショッピングセンター「ブラジリアン・プラザ」まで大使と議員に同行。一行を見送った。(終わり、東京支社長=藤崎康夫)
■大泉町=日系子弟の教育最新事情=アマード駐日大使と後藤参議が視察=連載(上)=住民の一割がブラジル人=「工業の町」から「共生の町」へ