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財務相の処遇決定へ=辞任は時間の問題=側近が口座無断開示に関与=後任はメルカダンテ上議有力

2006年3月28日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】パロッシ財務相の辞任を時間の問題と見てルーラ大統領は二十七日、財務相と連邦貯蓄銀行マットーゾ総裁の処遇について協議するため政策委員会を招集した。財務相が現職に留まるためには、邸宅管理人コスタ氏の口座無断開示への非関与を証明する必要がある。連邦警察は多くの関係者から事情聴取をした結果、財務相特別顧問で広報担当のマルセーロ・ネット氏が、口座無断開示の指令とマスコミへの情報漏洩容疑者と見ている。広報担当の無断開示関与と情報漏洩の可能性は、財務相も認めた。財務相の後任として、メルカダンテ上議が有力視されている。
 邸宅管理人コスタ氏の口座無断開示とえん罪工作で、政府は墓穴を掘ったといえそうだ。労働者党(PT)政権が一市民に圧力を加えたことは、国民を失望させ、ルーラ再選へ向けた大黒星とみなされた。財務相は直接関与を否定したが、部下の関与可能性は認めた。大統領は財務相と貯蓄銀行総裁に引導を渡した。
 財務相の自宅は暴徒に囲まれ、家族は外出も通学もままならぬ状態にあると財務相が慨嘆した。管理人のCPI(議会調査委員会)証言以後、財務相はダンテの神曲に出てくる煉獄をさ迷い、アミアントの上着を着ているようだと述懐。
 口座の無断開示だけなら内部問題で済んだが、週刊誌へ情報漏洩したことで収拾がつかなくなった。さらにえん罪工作は致命的となった。それでも大統領は、財務相は政権の柱でありブラジル経済の大御所だと考えていた。
 連邦警察は口座の無断開示に直接関与した二人の管理職に事情聴取を行い、貯蓄銀行の指令権限を持つ総裁付き幹部の責任を突き止めた。連警のラセルダ署長は二十七日までに、同事件に関与した全幹部職員を見せしめのため起訴するという。連警によるえん罪工作への関与について、下部職員が便宜を図った可能性は認めるが、連警自身の関与は全面的に否定した。
 連警は事件のあった十六日の同時刻、行内にいた総裁と関係がある同行全職員と総裁が扱った全書類の記録でアリバイを調べる。一部局長だけに許される非常用ラップトップが、無断開示に使用された可能性も調べる。連警が封印し同行本部に保管されるべき非常用ラップトップがサンパウロ市にあったことも不審としている。
 大統領が財務相後任の第一候補としているメルカダンテ上議は、マルタ前サンパウロ市長とともにサンパウロ州知事選のPT公認に賭けている。もし財務相指名とあれば、知事選を断念し大統領命令に従うという。同上議は財務相を中興の祖とみなし、任期終了までパロッシ路線を踏襲すると誓った。
 外国紙も一斉に財務相の去就を報道した。英紙フィナンシアル・タイムズは、財務相が三十一日前に辞任するか、法令に従って最終日に辞任し下議へ立候補するか、海外投資家の注目としている。それによって左派の台頭もあるという。欧米各紙は、ルーラ大統領が裏金疑惑を制御し難局を乗り越えたとみている。