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電力公社が市場へ再参入=豊富な資金力で勢力拡大=政府規制で身を引く民間企業

2006年3月28日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】電力供給会社が時代の波とともに民営化されたが、ここにきて電力公社エレトロブラスの市場再参入の勢いが強まり、国家権力への集中に逆戻りする傾向を見せている。
 民営化されたとはいえ、エレトロブラスの所有する五つのホールディング会社が市場の五〇%の供給を占めていた。それが現有の供給会社の株式を所得して大株主になったり、新たな発電所を落札したりして勢力を広げている。
 この背景には電力最大手消費者会社がコストダウンを図って投資したものの、政府が電気料金を設定することで供給会社に参入したメリットが失われたことと、高い税金にしばられて経営が思うようにならなくなったことで遂に身売をせざるを得なくなった事情がある。
 また水力発電所の入札では、政府の設定する最低応札価格が高い割には電気料金が安く押さえられることで採算が取れないことを理由に民間会社は応札を断念しているのが実情だ。これに対しエレトロブラスは、豊富な資金力と開発銀行の融資を基に着々と落札を決めている。
 関係者は民間企業の参入が頭打ちとなり、エレトロブラスの事業展開にも限度があることから、二〇〇八年には供給不足となって節電規制の最悪事態も起こり得ると危惧している。
 エレトロブラスの昨年十二月末までの資本金は二四〇億レアルで、昨年の投資総額三二億レアルに対し、今年は五二億レアルを見積もっている。株主構成は普通株で連邦政府が五八・四一%、非居住株主が一五・六三%、居住株主が六・一四%、FNDが五・〇四%、BNDESPARが一四・七八%となっている。優先株は政府が一五・六九%、居住者が五〇・五八%、非居住が三三・七三%で株は上場されている。
 所有するホールディングはエレトルノルテ、エレトルスル、CGTEE、イタイプ、シェスフ、ライトパル、エレトロヌクレアル、フルナスで、いずれも水力発電で電力を供給している。
 エレトロブラスはこれまでリオ・ドーセ社保有のフォス・ド・シャペコ発電所の株を四〇%取得したのを始め他三社の株を購入し大株主にのし上がった。さらに近年の入札で四カ所の水力発電を落札した。