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「高齢 相談が 顕著」=援協総会で事業報告=日系社会のきびしい状況を反映=新規事業は友好病院の集中治療室増床

2006年3月28日(火)

 サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)は二十五日午後、サンパウロ市リベルダーデ区の文協ビル新館展示場で定期総会を開き、昨年度事業・決算報告、今年度新規事業計画・予算案などすべての議題が満場一致で承認された。取り扱い件数は、前年(〇四年)の百四十二万七千二百七十三件から七・三%増えて、百五十三万八百五十九件になった。福祉の相談が顕著で、援協は日系社会の厳しい状況を示していると捉えている。出席人数は百十七人。百六十人の委任状があった。
 酒井会長は挨拶で、「援協は九つの事業所を持っていますが、福祉関係事業に温かい協力をいただき、ありがとうございます」と会員・役員に感謝した。
 事業報告によれば、福祉部が受けた相談件数は七千七百七十八件。前年度(五千百七十四件)から五〇・三%も伸びた。内訳では、高齢者問題が三三・八%から四四・二%に増え、高齢化の進行を浮き彫りにしている。
 と同時に、精神科関係の相談も三二・三増と大幅に増加。社会問題化してきていることが分かった。
 福祉部は今年五十二万二千レアル(収入・七十二万八千レアル、支出・百二十五万レアル)の赤字予算を計上。社会復帰センターやすらぎホームも同様に、八万レアルの赤字予算を組んでいる。
 高齢化によって、老人ホーム四施設の稼働率も上昇中だ。かつて入居者不足に悩んでいた、カンポス・桜ホームは、過去最高の八〇%を記録。スザノ・イッペランジャホームも満床状態が続いている。
 児童の社会教育活動を目的に開所して昨年で三年目を迎えた、社会活動部「奄美事業所」は九十五人を受け入れて、フルに活動している状態だ。
 友好病院は〇五年に国立保健保証機構から優良病院として認定された。診察件数は四十六万六百七件に達している。総合診療部は六十一歳以上の利用者が、六割を占めている。内訳は八五%が日系人。日本語による対応が今後も欠かせないという。
 援協の〇六年度予算は一億三千百五十七万千レアル。昨年(一億二千四百五十五万三千八十四・二九レアル)よりも、約六%増えた。
 新規事業としては、デイサービスの拡張・充実(福祉部)、地域高齢者の支援キャンペーン(あけぼのホーム)、集中治療室(UTI)の増床(友好病院)などが計画されている。
 会員からは「役員の役付けについて、定款では理事の互選になっているはずななのに、推薦で決めるのはおかしい」と指摘があった。
 これに対して、山下忠男常任理事が「互選にすると時間がかかりすぎるので、故竹中会長時代に総会で、推薦制に変えることを決議。その後、この慣習が続いている」と返答した。
 理事の役付けについて、理事会などで検討を重ねていく方針だ。〇七年の役員改選に向け、議論が沸騰していくかもしれない。