借金学の妙味体得した政府=国債購入する外資に免税措置
2006年3月29日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二月十七日】歴史とは皮肉なものと、セウソ・ミング氏が述懐する。左派系の経済学者は一年前、ブラジルの高金利を目当てにやって来る外資から税金を徴収し、レアル通貨を守ることを提案した。ところがルーラ政権は反対のことをした。ブラジルの国債を購入する外資に税金を免除したのだ。
これは二〇〇二年、大統領選に出馬したルーラ候補が「ブラジル国民に告ぐ」とした覚書に匹敵する賭けといえる。ルーラ政権は債権者交渉で、公債の債務不履行の危険性を解消した。債務の決済期限を延期し金利負担を軽減、債権者の間に債務需要を喚起した。
政府が債権者に不公平な対応をしたことで批判できるか。外国債権者には免税措置を与え、甘えん坊の国内債権者には揺さぶりを掛けた。国税庁のラシージ長官が最初に免税案を発表したとき、税収が減らないかと心配した。
国庫庁のレヴィ長官は、増収すると反論した。レアル建て債券を倍増させ、海外投資家の手に渡すなら、税収は一億五〇〇〇万レアル増える。今年一年の間に基本金利が一%下がり、〇六年に国債を三兆レアル発行すると、三〇億レアルが国庫に入るという計算だ。
もしも国内投資家が免税措置を享受するため、海外投資家に変装しないかというラシージ長官の心配も解消だ。暫定令では、タックス・ヘイブンからの入金を禁じた。また所得税が二〇%以下の国からの投資も、除外した。
同暫定令を起草中、輸出業者はドルが大挙してやってきて為替を撹乱すると頭を抱えた。しかし、この考え方は誤解だ。免税措置が採られても入ってくるドルは、八〇億ドル位で、輸出で入る四〇〇億ドルに較べたら驚く程ではない。
それとは別に、ドルが下落する理由がある。ブラジル経済の基礎条件が好転し、中期債務の決済期限が無理のない間隔に配置されて金利負担が軽減され、ブラジルのデフォルトが霧消すると事情が一変する。ブラジルが要らないというのに、使ってくれと海外投資家がドルを持ち込む。
何しろ高金利という蜜を見せびらかすブラジルに、投資家という蜜蜂が集まらないはずがない。ブラジルの事業家は、レアル高時代の経営法を編み出さなければならない。一ドル八十円時代を生き抜いた日本の為替政策に学ぶことだ。
借金学の妙味を体得したルーラ政権は、前政権よりも公債発行に打ち込む。それには理由が二つある。一に健全財政はレアル・プランによる基礎収支の財政黒字と財政責任法から始まった。PT政権は努力せず波に乗っただけで、薩摩の守も同然である。二に好調な国際経済とドルのだぶつきを背景に、安全で美味しい話を鵜の目鷹の目で投資家が探していることだ。