2006年3月30日(木)
中日新聞編集局社会部の記者、長谷川洋一さん(43、愛知県一宮市出身)がJICA有識者派遣事業により十日来聖、十六日に来社した。JICA事業を取材すると共に、デカセギ受け入れ最多県・愛知を基盤とした新聞社らしく関連ボランティア団体から現地事情も取材したという。
長谷川さんは「日系という言葉がこちらではステータスが高い。でも、日本では一人歩きしている印象がある」と慎重な言葉遣いをする。愛知、静岡、三重など、同紙のエリアは日系集住地区と重なる。愛知だけで五万人以上のデカセギがいるが、ステータスは高くないようだ。「長期的なビジョンを持ってくるべき。日本社会は決して甘いものではない」。
デカセギ問題の一番早急な課題は「子どもの問題」と分析する。「対策を取るべき点はたくさんある」。今回、送り出し側で支援活動をする国外就労者情報援護センター、グルッポ・ニッケイなどを取材して、「みなさん、一生懸命やっていることはわかった。でも、そのような支援団体に行かない人たちが問題。それをどう惹きつけていくかが課題でしょう」と考えを語る。
日伯別々に取り組むのでなく、「両国で手を取り、共に解決していく問題」との認識に到達したという。
滞在中は他に、JICAが支援する交番プロジェクトの現場や軍警本部、移民史料館、北パラナ・マリンガの松原美佐子シニアボランティアなども取材。十六日深夜、帰国の途についた。