2006年3月31日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】ボリビア政府が天然ガス資源と生産施設を国有化することを全面に打ち出したことを受けて、ペトロブラス(ブラジル国営石油公社)は同国関係当局と協定に関する調整を続けてきたが、ここにきてあつれきが生じ、交渉は暗礁にのりあげる様相を呈してきた。
そもそも発端となったのはマスコミが報道した同国のソリース・エネルギー相の発言で、それによると同相は、ブラジルはボリビアを半植民地扱いにしており、協定においても威圧的態度に満ち溢れていると非難した上で、ボリビア政府は国有化にともなってガス供給の主導権を取り、価格値上げなどの強硬な態度で挑むとの態度を表明した。
これに対しペトロブラスのガブリエリ総裁は、これまでの沈黙を破って猛反発し、反撃の口火を切った。同総裁はボリビア国有化について各国が批判的態度を表明している中、ブラジル側が唯一理解を示し、それを承認して二国間調整を進めているとの経緯を説明した上で、仮にボリビア政府が圧力をかけるなら一切をご破算にする用意があるとの強硬な見解を述べた。
ガス供給に関する価格も含めた技術的な詰めはペトロブラスが担っていることから、外務省筋ではソリース・エネルギー相の真意も外交ルートを通じて明らかにされていないことを理由に、当面静観する方針を固めた。とりあえずペトロブラスのケンカを対岸の火事と見るとの態度をとっている。
ペトロブラス総裁によると、ブラジルの天然ガスは一日当り四六・八%相当の六八五〇万立米が自給、二〇・四%相当がボリビア産、一・三%がアルゼンチン産となっており、ボリビア産天然ガスの総生産量の二五%をペトロブラスが生産、このうち一日二六〇〇万立米がブラジルに、六〇〇万立米がアルゼンチンに輸出されている。
さらにボリビアとブラジルは二〇一九年まで供給契約を締結しており、これを反古にすると相互協力条約にも影響すると警告している。またこれまでに一五億ドルの投資を行っており、さらに生産の五〇%アップを目指す投資も考えているが、これをすべて打ち切る用意があると言明している。