買い物からの帰宅は1年後=バター1個万引きし=軽犯罪者の長期拘留は必要?=女性に多い軽犯罪者
2006年3月31日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】近くのスーパーにちょっと買い物に行ったはずが、帰宅が一年後になってしまった女性がいる。出来心でバター一個を万引きしたのが、見つかり警察にしょっ引かれて一年間臭い飯を食べる破目となってしまったのだ。サンパウロ市西部ピニェイロス区の女子未決囚刑務所では千三百六十人の拘置者のうち、三人に一人はこのような万引きなどの軽犯罪者だ。先頃、薬局でシャンプー一個を万引きして九カ月間服役した女性がテレビのドキュメンタリー番組に登場して反響を呼び、司法のあり方が問われている。
女性擁護のNGO(非政府団体)に所属し、一九九七年からボランティアで女性犯罪者の弁護を引き受けているサンパウロ市在住のソニア・ドリゴ弁護士は、万引きなどの軽犯罪を長期に勾留するのは違法だと抗議している。服役囚も重罪犯が捕まらずに貧乏人や弱い者のみを取り締まる司法体制に不満を示している。しかし検察側は一〇〇万レアルの強盗犯も一レアルの万引犯も泥棒に変わりなく罪を受けるのは当然だとの見解を示している。
犯罪専門家によると、窃盗の罪は軽いもので一年から四年の刑、集団や器具を用いた場合は二年から八年の刑が適用されるが、万引きなどの出来心は状況判断により情状酌量とするべきだと指摘する。例えば幼児を抱えた母親がミルクを万引きして刑務所送りになるのは人道に反し、人権擁護令に反するという。
これに対し検察側は複数犯罪もしくは再犯、ならびに脅迫罪の疑いがある場合は起訴の対象になるとしている。例えば万引きなり窃盗が露見して取り押さえられた時、犯罪者が店主や警備員に対して、例えば「今に見ていろ」とか「覚えてろ」とかの言葉を吐くと、復讐をほのめかしたとして脅迫罪に該当し、窃盗と合わせ二重加罪になる。冒頭の万引きの女性は、万引きを発見した店主に対し「殺す」とわめいた為脅迫罪を適用されて起訴された。
しかし万引きのみで起訴され、二〇〇四年五月から〇五年四月まで拘置された女性もいる。この二十五歳の女性は薬局でシャンプーを万引きしようとして捕まった。現在に至るまで裁判が結審しておらず、前出のドリゴ弁護士が仮釈放を申請し認められて出所した。
この女性は拘置所内で無実を叫んで暴れたため房内のほかの服役囚にリンチに会い片目を失明する不運が重なった。同弁護士によると、この女性はリンチで服を引き裂かれ、全裸でシーツにくるまってコンクリートの床で寝ていたという。房内は二十五、六人がスシ詰め状態で収容され、寝具マットは特定の数人にしか配給されず、残りはシーツ一枚で寝ている。食事は常に〃酸っぱく〃まさに臭いメシとのこと。衛生用品は支給されず面会者が差し入れる。面会がない服役囚は便所掃除や他人の洗濯などをしてオスソ分けにあずかる。パンの耳を集めて固めて生理用品の代わりにする囚人もいるという。
これまでの万引きでの長期勾留の主な例を紹介すると、四十二歳の女性はマニキュアとアイライン(計二十六レアル相当)を万引きして、〇四年十一月十日から〇五年三月十七日に仮釈放されるまで拘置され、〇六年三月に無罪の判決が出た。三十七歳の三人の子供の母親はオムツ(一三・八〇レアル)の万引きで〇五年三月から二カ月間、その後無罪となった。二十六歳の六人の子持ち女性は食用油一ビンで御用となり今年一月から勾留され、保釈されたものの裁判は継続中。四十五歳の女性はチーズとビスケットの万引きで〇四年七月から〇五年十月まで服役した。