2006年4月1日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十一日】セーラサンパウロ市長は三十一日にも、サンパウロ州知事選に立候補するためサンパウロ市庁の課長らを招き、人事異動と辞任を表明する見通しとなった。同市長は知事選出馬に至った経緯を説明し、サンパウロ市議会へ辞職願を提出する。後任は、ジウベルト・カサビ副市長(自由前線党=PFL)が昇格。新市長から市政に向けた新しい企画の発表はまだない。ピノッチ教育課長は三十日、市長より一足先に辞任を表明し、市長辞任発表に先走った。三十一日は、アウキミンサンパウロ州知事にとっても最後の奉公となる。
セーラサンパウロ市長は三十一日、サンパウロ州知事選出馬のため、就任してわずか一年三カ月の市長職を正式に辞任する。午後は関係者を招き、カサビ副市長を新市長とする新しい市政の面々を紹介し、引継ぎ式を行う。市長にとって最初で最後のサンパウロ市年度決算書を三十日、市会計院へ提出した。
サンパウロ市長の知事選出馬は、本人の意向ではなく、党(ブラジル民主社会党=PSDB)とアウキミン知事の圧力が大きかったようだ。また支持率調査による労働者党(PT)予想候補者の四倍という支持率も、出馬決定に影響を及ぼしたらしい。同市長の知事選出馬は前大統領の推薦もあった。
同市長には任期途中の辞任を否定した公約があり、心残りであったようだ。また同市長が知事選へ出馬しない場合、PSDBはサンパウロ州を失う公算もあった。市長室には連日、市長応援団が知事選出馬を陳情した。
一方、マルタ前市長は三十日、PT党執行部へサンパウロ州知事選への党公認候補の決定を急ぐよう要請した。党大会によるマルタ前市長とメルカダンテ上議の知事候補選出は、五月七日に予定されている。マルタ陣営は選挙準備で連立工作が必要であると、四月二十三日の前倒し選挙を要求した。しかし、裏金疑惑の処理で持ち場を離れられない上議は、前倒し選挙に反対だ。
サンパウロ州知事選へ向けたPT公認候補は、ルーラ再選に有利な方が選ばれる。マルタ前市長は、PSDB市政よりもPT市政が優ることで自信があるという。メルカダンテ上議は、中流層の票獲得が対セーラ戦の決め手だとしている。
サンパウロ州では強力な地盤を持つクエルシア元知事の協力は、PTもPSDBも欠かせない。PSDBは元知事に上院への切符を提供したが、PMDBも知事選へ関心を持っている。サンパウロ州はコーヴァスとアウキミン、クエルシアの地盤が強く、PTは一歩後退のようだ。
セーラ氏は、大統領になるために生まれたと思っているらしい。サンパウロ州知事の椅子は、同氏にとって据え膳のようなもの。セーラ氏は一九四二年三月十九日、サンパウロ市モッカ区で生まれた。チリのセパル大工学部卒、米国コーネル大で博士号取得。六三年、全学連会長。六四年、欧米へ亡命。七八年、帰国。八三年、モントーロ知事の企画長官に就任。八六年、下議。八八年、PSDB創立に参加。九四年、上議。九五年、予算管理相。九八年、保健相。〇二年、大統領選に立候補し敗れる。