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労働局監督官55人を逮捕=職員の3人に1人が汚職=ジェ下議の資金源との噂も=リオ州

2006年4月6日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】リオデジャネイロ州連警は四日、同州労働局で不正を働いていたフィスカル(行政監督官)や職員ら五十五人を汚職などの罪で摘発し逮捕した。逮捕されたのフィスカル四十人、総務課員十一人、定年退職者三人、解雇された元職員一人で、集団で不正を働いていた。
 これらは犯罪組織結成、汚職(現行犯および過去に遡り)、公権乱用、公文書偽造および偽造データの挿入、法の不法適用、背任、詐欺の罪で起訴される。同労働局では百五十五人の職員がおり、その約三分の一が集団で不正に携わっていたことで、有史以来の大量検挙に関係者はショックを受けている。
 一昔前は「泣く子とフィスカルには勝てぬ」と言われ、フィスカルの権限は絶大で、ために企業や商店では袖の下(ワイロ)で事を解決し、悪徳フィスカルが横行していた。しかしその後の粛正で姿を消したと見られていたが、大掛かりな組織がまだ現存していたことで驚きをもって迎えられている。
 関係者はこの汚職が政治資金として不正に政界に流れている可能性が強いとみている。マリーニョ労働相は摘発の直後、本件に政治家が関与しているという報告は受けていないとの特別談話を発表し、引き続き調査を進めるとの態度を示している。同労働局は昨年議員権をはく奪されたジェファーソン元ブラジル労働党(PTB)党首が人事権を握って事実上管理していたことで、同党の資金源とも噂されてきた。
 連警は二〇〇三年から内偵を続け今回立件に至った。そもそもはブラジリアの労働省で勤続年限保障基金(FGTS)の不正を捜査していた際に同州での不正が発覚した。
 連警によると、フィスカルが違法モミ消しを実行したのは数百件に上り、これに関与した企業は全て贈賄容疑で取調べるという。関連書類、とくに罰金請求書は破棄されているが、さかのぼって調査するという。また商店では未登録社員などの不法労働に対しフィスカルが一軒当たり五〇レアルから一五〇レアルのワイロを受け取っていた。中には一日当たり一軒で三〇レアルから四〇レアル荒稼ぎするフィスカルもいた。
 同州労働局は、ジェファーソン元党首が連立政権とする見返りに国会スキャンダルの発端となった郵便局と再保険院とともに人事権を手中にした。関係者の間にはメンサロン(裏金)の根源はここにあると指摘する声もある。