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アイルランドのブラジル村=町挙げて歓迎される不法移民

2006年4月7日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】アイルランドのゴート市にはリトル・ブラジルと市民から呼ばれる一画がある。正確な統計が内が、人口三千五百人の町に少なくともブラジル人は四〇%を占め、毎日その数が増えていることから、六月には五〇%に達するとみられている。
 市で唯一のバス路線のバス停がある中心部の公園では、いや応なくブラジル語が耳に飛び込み、ブラジルの片田舎にいる錯覚を起こさせる。このブラジル人の九〇%は不法移民だが、ほかの国と違ってとがめられることはない。逆に警察やアイルランド国立大学などが出張相談所を設けて、保護に当たるほど優遇されている。
 移住者のすべてがゴイアニア州アナポリス市の在住者で、七年前に数人が出稼ぎにきたのが発端となった。彼らはアナポリス市の唯一の産業だった精肉工場が閉鎖されて職にあぶれていた。いっぽうでゴート市は町をあげての精肉の専門地域だったことから従業員不足に悩んでいた。そこでアナポリス市の失業者ながら専門職に目をつけて呼び寄せたもの。
 その後親兄弟、親族や知人が詰めかけて現在の数に膨れ上った。移住者の九〇%は男性で、アナポリス市の家族に仕送りをしている。彼らは仕事に限らず住居も共有している。五部屋ある家を借りて十五人から二十人が共同生活している。中にはベッドを共有するのもいるという。これらが一画に固まったことからリトル・ブラジルと呼ばれる所以となった。
 しかし、ブラジル移民が増えたことと、ポーランドとチェコ人の入国が自由化されたことで、就職難となってきている。移民らはいわゆる3Kと呼ばれる仕事に甘んじている。雇用側は毎朝バス停前からトラックで従業員を連れていくが、彼らは行き先も仕事の内容も知らされない。賃金も以前は日当一〇〇ユーロ(二六七レアル)だったのが、六〇ユーロに下がっている。しかし他国と比べ不法滞在のとがめがないことが取柄だという。