2006年4月8日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】マンテガ財務相は六日、中銀理事二人を更送し新たにパウロ・クーニャ氏(元HSBC重役)とマリオ・メスキッタ氏(元ABN理事)の二人を起用する人事を発表した。前者は国際関連を、後者は特別案件を専任担当する。
この人事はマンテガ財務相が就任して早々と中銀に介入したことで注目されている。パロッシ財務相の経済戦略がとかく批判されてきたことで、中銀改革と受取る向きもあるが、実際には中銀独立の強化を図ったとの見方が大勢を占めている。あくまでもルーラ大統領の信任が厚いメイレーレス中銀総裁をバックアップし、中銀の内部固めを狙った人事と取られている。大統領側近によると、マンテガ財務相が両氏の人事を具申したのに対し、ルーラ大統領は「全く異存がない」と即座に承認したという。
エコノミストの両氏の起用は金融界では予期されていたが、国内にとどまらず海外でも好意をもって迎え入れられ、パロッシ前財務相のスキャンダルによる失脚での金融および経済界の不安の火消しになったとみられている。
両氏の経済理念とオーソドックスな手法は国内外でも定評があることから、中銀のかじ取りには最適とするアナリストが多い。社会経済開発銀行のバッシャ元総裁やロヨラ元中銀総裁はこの人事に口を揃えて「エクセレント(素晴らしい)」と評している。また英国のエコノミストらも平静に受止めているとして、歓迎の意を表している。
さらに関係筋では中銀路線の大筋に変更はないものの、金利政策には急カーブがかかるとみている。そもそもマンテガ財務相はこれまで中銀のインフレ抑制指向から基本金利(SELIC)引き下げに対して消極的すぎるとの批判の急先鋒だった。
金融筋では財務相の意向を受けて両氏はSELIC引き下げの速度を早め、それによりSELICは年内に一四%になるとみている。金利引き下げ推進論者のフルラン産業開発相も、金利引き下げによる経済成長政策を期待しているとのコメントを寄せている。