政府茶番劇の舞台裏=策を弄し策にはまる=財務相救出でドタバタ=下郎の首代は百万レアル
2006年4月12日(水)
【ヴェージャ誌一九五〇号】シェイクスピアが「人間は落ち込むと、変な仲間を呼ぶ」といった。窮地に追い込まれたパロッシ前財務相を救出しようと集まった政府高官らのお粗末な茶番劇が、それといえそうだ。同相配下の乾分らが不正の富で酒と女に明け暮れている様子を管理人に見られたのだ。元管理人の口を封じるため、策略をめぐらし陥れようとした。ルーラ政権の最大スキャンダルの一つが、銀行口座の無断開示と情報の違法提供である。策を弄し、策にはまった。策略は失敗に終わり、蜘蛛の子を散らすように一味は逐電した。
ブラジル経済を立て直したパロッシ財務相は、金字塔を打ち立てた。しかし、労働者党(PT)政権の政治危機は同相の追放に至り、政権ぐるみの犯罪の捜査は本番に入りそうだ。政府は連邦貯蓄銀行のマットーゾ前総裁と管理職らに、責任すべてを取らせる交渉をした。「下郎の首になれ。首代として一〇〇万レアルをやる」という話だ。
元管理人の実父も、口座と資産を無断開示された。実父が認知訴訟の代価として元管理人に贈与した住宅購入資金については、邸宅の隣家で就労する庭師から洩れ、ヴィアナ上議(PT)の耳に入った。直ちにプラナウト宮に報告され、三長官の鳩首会談となった。
三長官は、元管理人を犯罪人に仕立てる材料を探した。元管理人の口座を開示する暗証番号が必要になった。暗証番号の抜き取りを巡ってマットーゾからシューマン、マスカレーニャ、ソウザと連絡が行った。ソウザは、暗証番号にかけてはハッカーのような特技を持っていた。
ソウザが違法開示した口座明細は、直ちにマットーゾから前財務相に届けられた。そこにはゴウドマン法相補佐官とマルセロ・ネット財務相補佐官もいた。前財務相は満面に笑みを浮かべ、元管理人を連れてきたアンテロ上議(PFL)に一泡吹かせると上機嫌。時刻は真夜中、全員に協力を謝して帰らせた。
前財務相はその直後、がく然とした。どのように口座を開示したか突っ込まれるが、なんと言い逃れをするか。金融活動管理審議会(Coaf)が開示したことで口合わせを行ったが、計画は不完全であった。マルセロ・ネット補佐官がマスコミに口座明細を流したため、口座の無断開示に関する徹底捜査が行われた。
マルセロ・ネット補佐官が元管理人を犯罪人として立件すれば、無断開示の手口はウヤムヤになると思い前財務相は手を打った。まず元管理人を葬るために、ポルトガル財務次官を証人に仕立てようと考えた。ところが同次官は辞表を提出、同件から即座に手を引いた。
バストス法相はサンパウロ市への帰宅直前、ブラジリア空港で雑誌エポカに掲載された記事のコピーを受け取った。これは、前財務相の犯罪をもみ消すための工作であると直感したという。マットーゾを下郎の首にする交渉の報告も入った。マットーゾは、下郎の首なら小物を使えと進言し、拒否した。
政府は前財務相を助けるため、形振り構わず下郎の首探しに没頭した。前財務相の顧問弁護士の進言で「下郎の首」を募集することになった。首代は一〇〇万レアル。公表はできないが、真面目で取り得のない候補が二人いるという。
元管理人は最近、表情が明るい。証言の謝礼をもらったらしいが、PTが元管理人には手を出さないからだ。ブラジリアでは元管理人に関するピアーダが、次々生まれている。パロッシ・マフィアのチンピラが、元管理人の実父の後を尾行しているという。