2006年4月12日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三月二十四日】欧州連合(EU)は二十三日、対メルコスル通商交渉を優先事項から外すと発表した。ブラジルは二〇〇七年までに急いでドーハ・ラウンドの現状を打開しないと、国際貿易で目ぼしい通商交渉がなくなり、孤立することになる。
世界貿易機関(WTO)を通じて各国は二国間交渉や地域交渉を進める中、ブラジルは相変わらず特殊部隊のように、中国やインドのような、共同市場に加盟していない新興市場ばかりを狙っている。
メルコスルは二十一日、自動車とサービス分野でEUと市場開放交渉を再開しようと試みた。しかし、メンデルスゾーンEU代表は無関心を装い、対メルコスル交渉はドーハ・ラウンドの決着後へ保留した。しかし、ドーハ・ラウンドは、いつ決着するか誰もわからないのが実状だ。
欧米代表は、四月までに農業問題など保留事項を話し合うと一月に約束したはずだが、態度をあいまいにして逃げ腰でいる。現時点までは、同件の進展は全くない。欧米代表が誠意ある態度を見せるなら何らかの進展が期待できるが、それも望み薄である。
〇五年末までEUは、メルコスルに対し関心を示したが、伯亜両国の歩調が合わず関心を失った。今は両ブロックの関係はすっかり冷え切り、両代表も意見調整に苦労している。
メルコスルとEUは歯がかみ合わないので、EU先市場への道も開かれない。FTAA(米州自由貿易圏)もルーラ大統領がつまずいて開店休業状態にある。FTAAはブラジル抜きで交渉が進んでいる。ブラジルは〇七年に指をくわえて傍観するだけらしい。
伯亜両国がメルコスル強化に奔走する間にベネズエラが参加し、妙な方向へ進み出した。メルコスルは、従来の共同市場から政治色を強めた共同体へ発展した。EUに対しても政治色を剥き出したメルコスルが接近すると思われるが、それにしてもメルコスルは少し晩成であった。