ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ヴァリグ航空支援を拒否=公的資金投入あり得ない=大統領、経営努力不足を示唆

ヴァリグ航空支援を拒否=公的資金投入あり得ない=大統領、経営努力不足を示唆

2006年4月13日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】七〇億レアル以上の負債を抱えて経営が行き詰まっているヴァリグ航空に対し、ルーラ大統領は十一日、公的資金を一私企業再建のために注ぎ込む訳にはいかないとして、資金面での支援を拒否する態度を明らかにした。プラナルト宮で行われた記者団との懇親会で言明した。
 これまでヴァリグ航空は九十日間のモラトリアムの承認を政府に要望したり、同航空社長が大統領との面談を要請するなど、再建に向けて模索を続けてきた。社長は否定しているものの、大統領に支援を要請する直訴のメールを送ったとも伝えられている。
 これらの動きに大統領は断を下した形となった。さらに大統領は、TAMやGOLなど他の民間航空会社が高い収益をあげていることを指摘し、ヴァリグ航空の経営努力の不足をほのめかした。
 これを受けてジウマ・ロウセフ官房長官は同日、同航空に対する公的資金の適用はあり得ないとの政府の見解を発表した。同官房長官は大統領特命によりこの問題を統括している。
 いっぽうで民間航空も統括するピーレス国防相は前日にヴァリグ航空従業員代表の陳情を受けており、「事態は急を要する。長引けばさらに経営は悪化し債務が増える」として、政府が資金面以外で支援する必要があると強調している。とくに燃料を補給しているBR配給会社の債務を棚上げするとともに、休航中の二十一機に燃料を追加供給して就航させ、収益を確保させるべきだと説いている。
 いっぽうで同空港の従業員代表団三百人がサンパウロ市からチャーター機でブラジリアに到着、国会前広場で抗議集会を開いた。このうちの代表らが大統領との面談で同航空存続を陳情する。
 代表団らは従業員全員の退職積立金などを同航空の資金として活用することを提案しているが、政府当局はこれに難色を示している。これは労働賃金法に触れるほか、もし実現すると資本金として組入れられることになり、全従業員が株主となることで経営がスムーズに成立たないとの見方をしている。このほか三千人から五千人の解雇および従業員の給与の三〇%カットなども協議される。