2006年4月14日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】野党ブラジル民主社会党(PSDB)と自由前線党(PFL)、ブラジル民主運動党(PMDB)、民主労働党(PDT)の上議らは十二日、ルーラ大統領のインピーチメント(弾劾)要請条件がそろったとする声明を発表した。最高裁に提出されたソウザ検事総長の起訴状が明示する労働者党(PT)政権の中枢に周到に構築された犯罪組織の最高責任者は、ルーラ大統領自身であるとジェレイサッチ上議(PSDB)が糾弾した。野党の上議らは大統領弾劾の政治的気運は不十分ながらも十二日、上院本会議の演台に勢揃いし、弾劾要請は機が熟したと発表した。
大統領制共和政治において、政権の中枢に犯罪組織を構築させた最高責任者は大統領自身であり、検事総長の起訴状はそれを明白に物語っていると、ジェレイサッチPSDB党首が訴えた。同党首の発言によると、犯罪組織はルーラ政権をも支配するPT党首脳部によって構築されたという。
コーロル元大統領の弾劾では、大統領府の中枢で指揮を執る主犯の存在が不明であったが、今回は明白である。ただルーラ大統領の弾劾に向けた国民の気運が今一つ盛り上がらない。大衆の間からうねりが始まれば、政治的には十分とペレスPDT党首が確信の程を述べた。
検事総長の起訴に対し、ルーラ大統領とPTを弁護する声明が発表されないのは驚きだとヴィルジーリオ上議(PSDB)が述べた。無反応は、無感情なのか去勢されたのかと同上議はいう。PTで美女の全裸ショーを催し、反応を試すと皮肉った。四十人のメンバーからなるPTマフィアを政権内に構築したと検事総長が起訴したのだから返答せよと促した。
シモン上議(PMDB)は、起訴状に大統領の名前がないから無罪なのではないと警告した。大統領が最高責任者でないなら、精神異常者だから起訴状に載せなかったのだという。大統領の目と鼻の先で起きたことを知らないで押し通すなら、ブラジル政治の舵取りができるのか、精神鑑定の必要があると訴えた。
マガリャンエス上議(PFL)は、大統領は何も知らないなら白と黒の識別や善悪の判断はできるのかと述べた。検事総長の起訴状は、大統領弾劾の前ぶれである。我々は大衆をけしかけて大統領を追放するのでなく、法治国家の合法的手続きに従って、国家元首から降りてもらうと語った。
一方、与党のサウヴァッチ上議(PT)は、四十人が罪状を否認しているのに、どうして起訴状に反応できるかと反発した。
大統領弾劾への条件について、法曹界の見方は十人十色。大統領が違法行為に関与した政府関係者を罷免しないのは、責任法に抵触する。違法行為の度合いによって、弾劾の遠因となる過失になる。政治的問題は、裁判所で弾劾の対象にならない。しかし、下院で三分の二以上が認めると弾劾審議は受理される。
弾劾審議の対象となりそうなのは、ドゥーダ氏が関与した裏金で二〇〇二年の大統領選に臨んだのなら、ルーラ氏の当選が無効になる可能性である。それはパリで、ルーラ大統領自身が認める発言をしている。さらに前財務相の辞任が裏金の不利な材料になる。