2006年4月14日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日既報関連】経営に行き詰まっているヴァリグ航空に対しルーラ大統領および政府が資金援助を否定したことで、政府関係筋では再建の道は閉ざされたとして、破産を視野に入れた動きが広まっている。
政府の資金援助拒否に加え、社会保障院は十二日、ヴァリグ航空のこれまでの積立金を差押える処分を発表した。同航空従業員らはこの積立金を同航空の運転資金として活用するよう提案してきた。これに対し、同院はヴァリグ航空の積立金の未払いが二三億レアルに達していることと、すでに退職した職員への年金支払を優先するとして、現在勤務する従業員らの年金活用は違法だとの判断を下した。従業員としては会社存続への一縷の望みだったが、司法の壁に阻まれた。
大統領の決断を受けてジウマ・ロウセフ官房長官は十二日、ピーレス国防相および民間航空局幹部と本件を協議したが、現段階では打つ手なしとの態度を表明したという。しかしピーレス国防相は、一万一千人の従業員が失業すること、ワールドカップ観戦にともない二万五千枚の航空券がすでに発行済のこと、大陸間で唯一のブラジル籍の航空機就航がゼロになることなどを挙げて、何とか存続させたいと強調したものの妙案がなく、座は絶望的な雰囲気に覆われたと伝えられている。
ヴァリグ航空が運行を全面的に停止した場合、国内および南米諸国向けについては国内のTAMやGOLがカバーすると表明しているが、当初は混乱し平常に戻るには三十日間は要するとしている。問題は大陸間の国際路線で、国内航空会社は能力がないことから、外資系航空会社に依存することになる。
ヴァリグ航空が所属するスターアライアンス(航路乗り入れ協定)に加盟しているルフトハンザ・ユナイテド・エアー、TAPなどは、ヴァリグ路線の継承を狙って水面下で動いている。ヴァリグ航空は三月に国際路線の六九%を占めたが、現在はキャンセルが続出し、実態は把握されていない。二〇〇五年のヴァリグ航空内のシェアーは一六・四%が米国向、二二%がポルトガル、五八%がドイツ、四四%がアルゼンチンだった。